前回の喧嘩を未だ引きずっているふたり。謝らなきゃ、と思いながらも言葉にすると憎まれ口になってしまうことを悔いる松丸は、咄嗟に彼女にそろそろ引っ越せ、と言ってしまう。翌日、すっかり気落ちしている松丸は、同僚の畑田に励まされて二人して呑みに出かけるが、奇遇にも同じ店で赤は初主演作品第一回のアフレコの打ち上げをしていて――
とりあえず脚本については文句なし。この決着は基本的に全てのトラブルをどっちらけで解決してしまう原作より格段にいいです。話運びの素材は決して目新しくはありませんが、堅実かついちばん活きる配置を心懸けていて印象は爽やか。
序盤では随所に登場したアバンギャルドな演出が後半に来て次第になりを潜めた、と感じるのは、特異な演出が物語のなかで浮かなくなっていっただけと思われます。そういう意味で、作品としても話を追うごとに成長していったとも捉えられ、トータルでの仕上がりは予想よりもずっと良かった。結果的に、全体の纏まりとしては今期にわたしが鑑賞していたアニメのなかではいちばん上質だったかも*1。
……まあ、正直ヒロイン・赤の声優には最後まで不満を持ったままだったのが残念ですが。終盤にかけてあまり気にならなくなっていったのは、劇中劇と言うべき作中での演技が減って、赤の日常部分の演技で拙さが浮き彫りにならなくなっていったことと、単なる慣れの問題です。声優本人についてはまだまだこれからの人材だと思うのであまり責めたくはありませんが、でもミスキャストであったのは事実でしょう。やっぱり赤の設定をアニメで納得いくレベルで描くのは難しかった。
*1:『怪〜ayakashi〜』の化猫の回は例外。シリーズで突出していたのはあれだけでしたし。
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