灯里・藍華・アリスの三人娘はいつもながらの共同練習の最中、運河べりの窪みに隠された宝箱を発見する。中には何かの在処を示す暗号が記されていた。興味を惹かれた三人娘はその場所に赴くが、そこに隠されていたのはまた次の場所を示す暗号。暗号、暗号の繰り返しを辿りながら、三人娘はネオ・ヴェネツィアじゅうを歩き回る――
ああああっ、やっぱしまた作画が崩れてるっ! 前シリーズ後半を崩壊させた“大人の事情”はまだ解消されとらんのかっ!!
個人的には原作でいちばん好きなエピソード2本を合流させたものなので、味わいどころは目一杯のはずなのですが……ちょっと喋りすぎです。感動をすぐ言葉にする灯里はともかく、アリスはいくら興奮していてもなるべく黙って行動させた方が、彼女のキャラクターには相応しいはずなのですが、ちょっと思いつきを口にさせすぎていて雰囲気を壊している。やっぱりこの脚本の人、台詞回しが下手だよなあ……。最後の三人娘の行動も、本人たちの台詞なしに行動だけで示す方がずっといい。だいたい台詞を絞っておけば、最後の灯里の台詞だってこんなにキツキツに表現せずに済んだでしょうに。
また、宝探しのきっかけも、原作と比べてちょっと味わいに乏しい。原作ではゴンドラの定期検査のあいだ、代わりに提供されたゴンドラに隠されているという設定であり、そこに彼女たちが興味を抱く解りやすいきっかけがありますが、このアニメ版での状況はあまりに偶発的。あれでは頻繁に発見されすぎて、終盤で彼女たちと同じような行動を選ぶ人ばかりではない確立が飛躍的に高くなってしまう。
あと、この“宝探し”エピソードとサンマルコ広場のエピソードを混ぜたのは、全体の構成からすると間違いだったように思います。あの老紳士の味わいが、別のエピソードに吸収されたことで削られてしまった。灯里に対する台詞にしても、もっと長いことまったりとした交流があって初めて活きるものでしょうに――個人的にサンマルコ広場の話は、ドラマCDなどによって会話だけで演出しても良かったように思うのですが。
部分的にはいい要素もあったのですが、作画にしても脚本にしても、更には最後の見せ場における演出にしても、ぎこちなさが目立っていまいちの印象。……うーん。
来週は、前シリーズではあまり出番のなかったアル君がクローズアップされるエピソードの模様。さて、原作におけるこのエピソードの勘所である藍華の可愛らしさはどこまで表現できていますやら。
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