お客を乗せての実地訓練のとき、今まで気づかなかった“素敵な場所”を客に指摘された灯里は、自分が知らなかったネオ・ヴェネツィアの“素敵な場所”を見つけようと、藍華・アリスに案内してもらう。たくさん覚えた代わりに、自分の場所は見つけられなかったことを少し悔やむ灯里。その夜、ネオ・ヴェネツィアは全域停電となって……
原作の停電エピソードを、設定を踏まえて丁寧に膨らませた職人仕事という趣です。定番の台詞を盛り込みつつも盛り込みすぎず、匙加減も巧妙。脚本の出来という点では、久々に文句のない出来でした。
反面、作画のクオリティと演出についてはかなり微妙。相変わらず省力化に配慮している様子ですが、それでもあちこち見苦しい作画があり、呼吸の悪い安易な演出もあってちょっとイラッとしました。脚本が健闘していても演出がちゃんと機能していなければ駄目でしょうがっ。
……尤も、それでも９話まできて水準はちゃんと保っているので、まだいいんですけどね。先日、間違いなくここ数年に観たアニメのなかで最悪の代物と巡り逢ってしまったので、なんか寛容になっている自分がいる……。
余談ですがこの話、原作では天野こずえの旧作『浪漫倶楽部』からメインふたりのキャラクターが出張してきて、客としてゲスト出演しているのですが、アニメでも似たようなデザインのキャラにしている――と思ったら、ＥＤのクレジットにちゃんと『浪漫倶楽部』のキャラクター名で登場してました。ここいらは天野作品の愛読者へのサービス、といったところでしょうか。中原麻衣に鈴木千尋というちょっと豪華な配役もナイス。
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