『てるてるあした』#11

 遂に慶子(荻野目慶子)――照代(黒川智花)の母であり、やす子(福田麻由子)の成長した後であるその人が佐々良に現れた。ちょこっと顔を出しただけ、伏せっている久代(草笛光子)に用はないと言い放つ彼女を、サヤ(木村多江)たち笹乃館の面々は引き留め佐々良に滞在させる。依然として態度の軽薄で、しかし何処か頑なな慶子をよそに、照代たちは残り少ない久代との時間を過ごす……

 最終回だから感動一辺倒かと思いきや、序盤にちゃんと擽りを入れてくれるのが憎い。帰ろうとする慶子を追い込む笹乃屋の仲間たちが素敵でした。特に背後からいつものように気弱そうな笑みを浮かべているだけなのに、それが不気味というサヤの描き方が堪りません。いやーやっぱりいいなあ木村多江

 以降の話も、押しつけがましいものはなるべく避けながら丁寧に話を盛り上げていて、最後まで非常に良質の仕上がりでした。クライマックスでは、もういちど照代の部屋の複雑な構造を駆使して実に実験的なカメラワークを行い、照代の成長を明示。そのままでは解決しきらなかった慶子の気持ちにもちゃんとケリをつけており、少々くどいと感じられるエピローグもなかなかきちんと収まっておりました。

 予想したほど劇的ではなかったものの、その匙加減が心地好い、最後まで良質のドラマでした。何より、人が死ぬこと、死ぬことに対する覚悟をきちんと描いている点がいい。

 先の時間がアレだったせいもあるのですが、ここまで楽しみにして、最後まで満足して鑑賞できたドラマというのはとっても久々のような気がします。『時効警察』は大好きでしたが一部が駄目だしミステリ好きとしては冷静に見られないところがありましたし。スタッフに心より感謝。

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