夜が明ければ、愛用していたゴンドラとの本当の別れが訪れる。名残を惜しんで、灯里とアリシアは海の上でのディナーと洒落こんだ。このゴンドラは、灯里にとってのみならず、アリシアにとっても沢山の想い出を留めたものだった。仲間たちも招いてのお別れディナーの席で、ふたりは互いの想い出を重ね合わせる……
ああ、まさかあの話を引っ張るとは。前回、原作のヴォリュームからしてもあの時点で締め括りだと思いこんでいたため、ちょっと驚かされました。今回もやはり回想という形で、アニメ版ではスルーされていた初期のエピソードを織り込み、更にはアリシアの過去とも重ね合わせることで膨らみを持たせています。
しかし、少々反復しすぎてくどい気はしました。脚本は前シリーズからのメイン・ライター吉田玲子氏の仕事ですが、そのわりには序盤、雑な台詞が目立ったのも気に掛かる。またAパート部分は全般に作画が荒れがちであったのも残念です。
が、たっぷりたっぷりと描いたからこそ、後半での気合いを入れた台詞と作画が感動に繋がっている。いまにして思えば、原作ではこのエピソードよりもずっとあとに置かれているパリーナ制作の話をこれよりも前に持ってきたのも、画面的な効果を上げています。
そして、原作の同じエピソードのトリを飾るあの場面も、今回はちゃんと描いた。これだけ時間をかけて蓄積してくると、やっぱり重みが違います。シリーズとして初めて2話を費やしたのは正解だったようです。叶うことならもっと丁寧な作画と、いま少し配慮の行き届いた台詞を実現してくれていれば、前シリーズから通して屈指のエピソードとなったかも、と惜しまれます。
さて、次週のサブタイトルは『その 新しい自分に…』となっています。予告ではポンデライオンもどきなアリア社長のカットのみだったので内容は不明ですが――題名からして、ようやく彼女の重要な話が採りあげられるのかも、とちょっと期待。
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