今回は、髪を切った藍華のエピソード二本立て。固め打ちにしたのは戦略として正しいです。
- その 泣き虫さんったら…
髪を切って首筋が寒くなっているだけかと思えば、本当の風邪だったことが判明した藍華。合同練習に加わらず寮で休んでいるうちに暇を持て余した藍華は、こっそり寮を抜け出して、身内の様子を窺うのだった。
原作では番外編扱いのエピソード、ですが個人的には好きな話だった……のですが、処理が甘い。藍華が物陰から、自分がいないときの合同練習の様子を窺うくだりはもう少し慎重に時間と藍華の感情の流れとを描くべきでした。そうしなければ、あとの藍華の述懐が浮いて感じられます。っていうか、この話はもっとゆったりと描くべきだったようにも思うのです。実質10分程度の尺ではあまりに駆け足すぎて情緒が足りない。
どーでもいいですが、藍華の泣き方がなんか『ぱにぽにだっしゅ!』のベッキーでした……いや、いいんですけど本当に。
- その 乙女心ってば…
朝、お気に入りのヘアピンをつけて鏡に向かい合った瞬間から、藍華はある衝動に駆られてどうしようもなくなっている。どうにか堪えて合同練習に赴いたものの、灯里とアリス、更にはアリシアにまでヘアピンを褒められて、とうとう堪らなくなってしまった……
最初の場面はずーっと鏡とにらめっこの様子を背後から捉えていたほーが良かったんじゃないのかなあ。そうすればこの脚本家の悪癖であるナレーションの多さも鼻につかずに済んだのに。そして二人が藍華の行動を促すようにヘアピンを褒めるタイミングも微妙。確かに、決め手はそのあとのアリシアですから、少し緩くても構わないのですけれど。そして、話の焦点となるあのひと言の前後にも、もう少し“間”が欲しかったところです。もう一発のところで“間”を入れているので調整した、とも捉えられますが、それ以前に無駄が多いのだからまだ調整は利いたでしょーが。
とあれこれ言ってはみましたが、全般としては藍華の乙女心を描けていてなかなか好感の持てるエピソードでした。エレベーターで帰ろうとして、「アルなら『腹ごなしで』とか言って階段で帰るかも」と乗るのを止める、その前後の描写は良かった。……台詞が少なかったから、というのはさすがにきついか、言い方が。
コメント