『地獄少女 二籠』第十七話 沈黙のまなざし

 少女・寧々が地獄流しの対象として指定したのは、彼女の母親・穂波。だが穂波は、かつて家庭内暴力に苦しめられ、寧々のために夫を地獄送りにした経験がある。閻魔あいの従者となる前の主に似た面影を穂波に見ていた一目連は、彼女に危機を伝えるべきか使命に徹するか困惑するが……

 輪入道あんた車輪のくせに走るの遅いなあ!! 終盤のひと幕で、本筋よりもそのことが気になってしまいました。いやまあ、軸がなきゃスピードが出ないのも道理なのですが。

 今回は純粋に、シリーズの1本として非常に優秀な仕上がりでした。流れに破綻がなく、一目連の静かな動揺がうまく描かれていましたし、地獄流しの依頼人と対象者の設定もいずれいちどは選ばれて然るべきアイディアであり、それを趣向ではなく情の面から描こうとしていた姿勢も好感度大。もうちょっと細かな描写を採り入れて欲しかったとか、全般に行動がお約束通りにすぎる厭味はありますが、そこまで高望みさせてさえくれない話が多かったことを思えば充分優秀です。

 このシリーズ、年輩の登場人物が多いと何故か作画に力が入らない傾向があると感じていたのですが、その意味でも努力が窺えます。閻魔あいではなく一目連の過去や、ゲストである寧々・穂波の表情や目つきを綺麗に描いていたので、画面的にも見応えがありました。

 飛び抜けた部分はないものの、脚本・作画・演出すべてが揃って水準を上回った秀逸なエピソードでした。二籠は前期と比べて、けっこういい出来の話が多くなったなー。

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