何百年も前から鬼太郎と対立し、人間に与する彼に憎悪を抱いていたぬらりひょんが、遂に攻勢に出た。街中でぬらりひょんが起こした火事から、鬼太郎が救出した女性を攫い、配下の妖怪たちが待ち伏せする森のなかにおびき寄せる。承知のうえで赴いた鬼太郎であったが……
鬼太郎シリーズではお馴染みの悪役ぬらりひょんが遂に登場。私にとっていちばん親しみのあるぬらりひょんというのは、戸田恵子が鬼太郎を演じていたころの、しばしばコメディ担当に成り下がっていた*1のですが、本編では数話前から策謀を張り巡らせ、実に真っ当な悪役として登場してくる。今回の計画も如何にも正義の味方に敵対する男らしい、狡猾極まりない代物で魅力は十分
……と言いたいところですが、計画の組み立てがあまりに恣意的すぎていまいちの印象。偶然頼りだったり、鬼太郎の行動を完璧に読み切っていなければ不可能な箇所もあって、そもそもよく巧く行ったものだと感心させられます。ラストの展開が予想通りであるのはさほど気にならない――というより少年ものを志向するのならあれで構わないと思うのですが、中盤の説得力のなさはどうにかならなかったものか。
シナリオの雑さに引きずられるように作画も低レベルで、ゲストのヒロインはどうも不細工ですし、終盤で鬼太郎の危機と活躍とに一喜一憂する妖怪横町の面々の描き方なんかほとんど落書きレベルです。作画枚数を絞りつつも迫力を表現しようとした戦闘シーンはじめところどころいい箇所もあるのですが、全体的にいい加減なので好感を齎すに至らず。
折角のぬらりひょん本格出馬なのに、精彩に欠いた出来でした。
*1:と記憶しているのですが、確認していないので誤解の可能性もあります。
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