新耳袋トークライブ53

 映画観賞後、会場へ急いで――みたら、都合のため15分開場が遅くなっていた。しかし、その辺をうろうろしてから戻ってみると、既に列の形成は始まっていたので、とりあえず着いてしまうことに。何せ、いつもご一緒するN氏にお願いして確保してもらったローソンチケット発券での前売り券の整理番号は1番と2番でしたから、前に誰もいない快感を少しでも長めに味わっておかねば。

 ともあれイベント開始。いつも最初は各種宣伝があるのですが、諸事情から今回は通常よりも丁寧に長々と行われました。木原浩勝氏も一押しの新作テレビアニメ『モノノ怪』の特別プロモーションも流されましたが――どうせやるなら『化猫』からの流用だけじゃなくて新作も少しは混ぜて欲しかった気が。DVDこそ買ってませんが私は放送された時点から評価してたんだぞこれー。宣伝の目玉は、『新耳袋』で採り上げられた、特に危険そうな場所に敢えて潜入取材を行った模様をまとめた『新耳袋殴り込み』でしょう。構成や体裁をとことんパクッた結果、見た目はほとんど『新耳袋』本物同然、でも推薦文が木原氏というけったいな代物になってます。怪談としては低レベルですが、益体もない取材の様子が愉しいのは事実なので、私も発売を待っていたりして。7月末予定だそうです。無事に出ればいいね。

 休憩を挟んでの第2部。ここから、すっかり新たなイベントの顔として定着した西浦和也氏と、先に開催された追加公演において気を吐いた女の子が登壇して、3人で進行。まず先に笑いを取っておこうと、いつの間にか定番となっていた、西浦和也氏による妙なレポートを済ませて、ようやく怪談イベントらしい展開へ。まずはいわゆる心霊写真。これは写った状況は確かに奇妙ながらも、正直あまり特徴的ではない。続いては動画、とある怪奇スポットに設置した定点カメラで、いわゆる“オーブ”が妙な出方をしている、というもの。ただこれは、私が確認していたモニターのせいなのか、あまり見えませんでした。壇上のスクリーンを見ている観客はけっこう頻繁に歓声を上げていたので、写ってはいたのでしょうけれど。

 続くもう1本の映像――これが凄かった。今年冒頭のイベントで既に西浦氏の口から存在が仄めかされていて、前々回に予告されていた代物。とある廃墟マニアのグループが、近々取り壊されるという病院に潜入し、内部の様子を撮影、他の記録と共にDVDに焼いて配布したところ、明らかに異常なものが映っていたために騒ぎになったという曰く付きのもの。こういったものは得てして期待しすぎると肩透かしを食うものですが――これは本当に凄かった。屋内をぐるりと見まわしているカメラのフレームいちばん端に映ったサッシを、小学生ぐらいの女の子と思しい姿がくぐってくるというもの。まさにその通りにしか見えず、しかも冷静に観察すればするほど奇妙な点が見つかる。最初に上映されたとき場内から拍手が巻き起こり、休憩に入ってからも西浦氏とノートパソコンを囲んで何度も何度も再確認してしまった、これは確かに逸品です。来月、『不思議ナックルズ』を刊行するミリオン出版にて、これを含むDVDつきの雑誌が発売するそうで、見たい人はそちらをお楽しみに――と言いたいところですが、怪奇映像にはよくある話で、これもオリジナルは見事に使用不可となっており、予断を許さない状況のようです。購入時にはご確認を。

 そして第3部は、前回未曾有の大活躍をしてみせた女の子が新たな体験談を語り、並行して木原氏・西浦氏も新作をちょこちょこと披露。まだまだネタが尽きないらしい彼女も素晴らしいですが、今年から再び新刊を手懸けはじめた木原氏に、北野誠氏の著書の企画や『不思議ナックルズ』への執筆など露出が増えている西浦氏もいいエピソードを持っていて、短いながらも聴き応えのある話ばかりでした。特に木原氏の話は、前回触れた話と絡めて考えると実に切ない。

 終了後、久々の著書にサインを頂戴してから帰宅――しようかと思っていたのですが、アニソンカラオケからこっち一睡もしていないので、さすがに限界が来ました。本気でふらつく足を引きずりながら帰宅、ちょこっとだけメールの確認などをしたあと、十二時ぐらいまで夢も見ずに爆睡。これを書いているいまもまだ頭のなかに靄がかかってます。やっぱりこのスケジュールには無理があった……。

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