海の家の労働地獄から無事に帰還した一同、だが瑞稀は佐野を苦しめているのが自分ではないか、と思い悩んで、彼と顔を合わせづらくなる。寮の部屋に戻らず保健室でひと晩を過ごした瑞稀に、翌朝やって来た保険医の梅田は、佐野が自分から陸上に復帰したのであり、瑞稀がそのことで思い悩む必要はない、と諭す。とりあえず調子を戻した瑞稀だったが、一難去ってまた一難、兄の静稀に続いて両親が瑞稀を訪ねてきた――
『スシ王子!』もそうですが、このコメディの呼吸の良さがいい。OPの異常にたくさん人が乗っているうえ中央が3回ぐらい降りてきたあたりで今回はもう既に満足してました。あと何が起きてもOKぐらいの。
しかしこれまでで基本は確立されたので、特に説明することもなく細かな遊びを入れるようになっており、その奥行きが頼もしいです。母親に連れられて訪れたブティックでワンピースを試着しながら明らかに足許が頼りなさげな仕種をしているあたりの堀北真希の可愛さは異常。そしてそれ以外のユーモアも、佐野を演じる小栗旬の髪型から“鬼太郎”呼ばわりした瑞稀を、佐野が売り言葉に買い言葉で「じゃあお前は目玉のおやじだな。しょっちゅう俺につきまとってる」と切り返すあたりの呼吸もナイスです。ちゃんと二人のあいだに育まれている絆をこういう風に描くのは、漫画ではわりと常道なのですが、意外とドラマではお座なりにされがちなので、その辺も新鮮でいい。
そして、ドラマ部分は次第に地に足が着いてきた感じ。終始言葉数の少ない父親が中盤で放つ味わい深い言葉に、中津のいい人っぷりと佐野が瑞稀に寄せる信頼の形などがいい具合に雰囲気を盛り上げる。足りないコメディ分は常時、寮生達がバカ騒ぎで補充しているので、その意味でも安心していられます。
ラストには今までになく正統派の波乱を用意して、次回への期待もいい形で持たせている。最初は面白いけど非現実性が魅力、という作りでしたが、話が進むに従ってドラマとしての結構も良くなってきました。いいぞー。
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