『スシ王子!』指南の八 東京編 熾烈!兄弟対決

 河太郎の裏切りに打ちひしがれながらも、司は指南書最後の試練――すべての項目を目隠しで行う荒行に挑む。無事に切り抜けた司は、目隠しをしたまま双子の弟・洋――通称スシウルフとの戦いに臨んだ。様々な修行を経て成長した司と、ひとり戦い続けてきた洋の実力はほぼ互角。だが……

 最後なだけあって、勝負の尺は長く、全体にシリアス。ちゃんとこれまでの、ギャグとともに織りこんでいた要素をきちんと抽出しつつ、常道に収まらないクライマックスを演出している。でも勿体ないと思うのは、やっぱり八話というのは想定外の短さだったのでしょう、最初から仕込まれていた河太郎の裏切りなどの要素をちゃんと描ききれなかったこと。やっぱりあれはこんなにあっさり片付ける部分じゃなかったよなあ。

 しかし、さすがに万事わきまえて作りあげているだけあって、この定石通りではない終盤は見事。ベースは人情噺なのですが、伏線は張ってあるし安易な勝ち負けで話を終わらせていない。やっぱりみんな潔すぎるきらいはあるのですが、それも結局のところはベースに盛り込まれていたわけです。やっぱり良くできてます、これ。

 ですっきり終わらせるのかと思いきや、最後に実にド派手なネタを繰り出して、来年公開予定の銀幕版に引っ張る。いちおう連続ドラマの枠の中でのネタは片づいているので、興味がなければ観なければいいだけの話、という風に仕込んであるあたりも潔い。本当にとことん、威勢と気っ風の良さを売りにした、愉しいドラマでありました。視聴率的にはいまいちだったようですが、私はとても高く評価しますこれ。

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