『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』第12話

 ブロッサム学園の花屋敷ひばりが3寮長に、「桜坂学園に女がいる」と告発したことから、学園はちょっとした騒動に陥る。問題の女=瑞稀の素性を密かに知った佐野と中津はどうにか発覚を避けようと奔走するが、3寮長は独自の調査で遂に瑞稀に照準を絞った。生徒会室に呼び出され、追求された瑞稀は、考えた挙句に女であることを認め、学園を去ると言うが、3寮長は自分たちが卒業する翌三月までを期限として、身の振り方を決めることを条件に、当面庇う約束をする。一難去って、次なる大きなイベントである学園祭にようやく心置きなく臨めると思って、安心していたのだが……

 簡単にバレるかと思いきや、幾度もひねりを入れてイベントを牽引、2時間もある尺を存分に引っ張ってくれます。3寮長の漫才もどきにシリアスを混ぜていき、中津の妄想トークは派手に増量、男子校ならではのイベントも必要以上に盛り込んでいく。

 何だかんだ言って正体はばれてしまいますので、そこをどう締めくくっていくかがポイントなのですが、本編はちゃんと青春ものとして爽やかな、後腐れのない形へときちんと組み立てていったので非常に好感が持てます。3寮長は非常に男前でしたし、似たような立場から理解を示していた中央は肝心な場面で実にいい存在感を発揮した。最終的に瑞稀が微妙な立場に置かれたのちも、安易に和解をすぐさま用意するのではなく、自然に打ち解けていくように工夫していったのが快い。コメディとして際立った要素を幾つも確立しつつ、描くべきものはちゃんと押さえていたので、それが如何にも青春ドラマらしいカタルシスに結実しています。さすがに終盤は尺がありすぎた気がしますが、実は全員を丹念に描いていたことを突きつけるクライマックスはけっこう効きました。物書きの本能としては臭すぎるのでもっと枝葉を落としてもいーんじゃないかとずっと思いながら見てましたが、まあ最後までお祭りだったと考えればこのドラマらしい。

 原作の読者として、堀北真希という最高の主演を得ただけでも充分に歓迎していた本編ですが、結果としては実にいいドラマになってくれました。満足満足。……だが何か、番外編1本ぐらい作る気のありそうなオチはどうするんだ。

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