『CLANNAD』第1回 桜舞い散る坂道で

 ……リアルタイムでちゃんと観るのは初体験。Key原作・京都アニメーション制作によるアニメ最新作です。

 家にも学校生活にも愛着などなく、たったひとりの友人・春原と漫然と日々を過ごすだけだった岡崎朋也。遅刻した朝、学校に向かう坂道の途中で、小声で自分を励ましている少女――古河渚と遭遇する。病気のために進学が遅れていた渚は、自分の影の薄さに悩んでいた。何故かそんな彼女が気に掛かった朋也は、何くれとなく面倒を見ることになる……

 アンソロジーに執筆した経験もあるだけあって愛着もひとしおですから、京アニの堅実な仕事で映像化されているというだけで嬉しい。杏初登場のシーンで「おお梗だっ!!*1」と思ってしまいました。そして智代。CM挟んで智代。声が桑島法子だというせいもあってなんか『クレイモア』のクレアっぽかったがほぼ理想通りだ。ナイスだっ!!

 ……と、趣味的な観点からは不満はないのですが、映画好きの立場に戻ると色々引っ掛かるところがある。特に、作画レベルの高さに依存しすぎて、余計なカットや無駄にカメラを振り回している場面が多いのが気に掛かります。本編はムード先行であるからこそ、もっと落ち着いたカメラワークでいいでしょうに。少し愚痴っぽすぎる朋也のナレーションもちょっとマイナス。構成上必要なのも解りますが、この半分くらいに絞って欲しかった。

 多分これも2クールは確保しているのでしょうけれど、それでも恐らく後半に待ちかまえるシリアスで生々しい展開のために、早いうちに個人のエピソードを消化するつもりなのでしょう、序盤の数分で主要キャラのほとんどを収めてきた構成の巧さは認めねばなりませんが、しかし如何せん性急すぎる印象は拭えませんでした。と書いてるとなんか遠くない将来自分に跳ね返ってきそうですが。あいたたた。

 しかしまあ、原作プレイ済の人間にはこの時点で終盤を予見させるOPのあざとさといいEDの破壊力といい、狙いすました作りが職人芸になっているのも確か。相当酷いことにならない限りは、最後まで観続けることは間違いなさそうです。仮に駄目になっても智代が出てる限りは観るさ。仕方ないだろうアンソロジーでも自分から「智代書かせろー」と言った馬鹿だからな!!

 ……それにしても、原作をやっているときから思ってましたが、実際に動いてみるとますます古河夫妻って『AIR』の観鈴・往人のその後という感じだなあ。それ故に、大馬鹿野郎だと思っていてもなんとなく温かな気持ちで眺めてしまうのであります。

 声に白石稔がいたことについては触れない。

*1:誤字ではない。少なくとも私の頭の中では。

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