『スケッチブック 〜full color's〜』Page.03 青の心配

 夏の休日。我が家でふたり過ごす梶原姉弟だが、弟・青はぼんやりした空が心配で仕方ない。食事を任せるとお茶しか出せないし、素麺を作ろうとする青を手伝えば、何かしらに妙なインスピレーションを受けては奇行に走る。そんな姉の交友関係に、青は興味を抱くが……まあ、想像通りなのである。

 しごく頼りない姉を持った弟の目線から描く第三話。先に二話が積み重ねてあるので、弟くんの嘆きがとてもよく理解できます。いつもと違う装いをした姉に一瞬ときめいて、直後にオチがあるあたりが巧妙。

 原作読者には微妙な評価を受けているようですが、素朴な感覚を描くことに焦点を置いたスタイル、個人的にはかなり評価してます。万能ねぎとか金魚すくいという言葉に色々妄想を重ねるあたりや、祭り囃子に対する感慨、景品目当てに慣れないギャンブルに出てしまう葉月とか、とても理解できる描写がふんだんにある。雰囲気アニメは多いですが、こういう“実感”をちゃんと捉えようとしているあたり、やっぱり『ARIA』と通じるものがあります。異様なほど丁寧に花火を描くあたりもいい。

 しかしいちばん楽しみにしている涼・風コンビの漫才は、三話目にしてCM前が定位置になってしまい、そこだけになってしまった気が……いや、主人公はあくまで空なんですから、脇に期待するほうが間違ってるんですけど。でももう一回ぐらい頼む。

コメント

タイトルとURLをコピーしました