『3年B組金八先生第8期』第11回

 年の瀬が迫り、生徒たちがそれぞれの志望を固めはじめた頃。大将が目の廻りに痣を作り、サングラスを掛けて登校してきた。彼の気持ちが荒れているさなか、憲太郎の父が金八先生に呼び出されて学校を訪れた。すっかり悄気て、受験の成果よりもとにかく部屋から出て来て欲しいと願う憲太郎の父に、金八先生は生徒たちに相談することを提案する。生徒たちの遠慮のない言葉に打ちひしがれながらも気力を取り戻した姿に、金八先生は安堵するのだった、が……

 今回は、金八先生らしい主題と描き方をしながらも、少し違った印象を与えます。これまでは、何だかんだ言いながらもきちんと伏線を張って事件を起こしていたのですが、今回の波乱はあまりにも突然で驚きました。ただ、こういう風に話を運ぶための手続はちゃんと踏んでいる。伏線ではなく、その描写が活きるために必要な話運びを心懸けているので、展開の重さはさておき、語り口としては味わいがあります。

 しかしそれ以上に、金八先生の言動の深みが素晴らしい。憲太郎の父に「昔の自分なら、ドアを蹴破って憲太郎を引きずり出しているところです」と言い、その後の出来事を経て取った行動の説得力。押しつけがましくもなく乱暴でもなく、また金八先生自身を超人とせず、起きた物事に立脚して生徒を導いていこうとする心意気の確かさがちゃんと描かれている。このシリーズの開始初期から、志は認めていましたが、それがどうやらいい形で実を結びつつあるようです。前回のシリーズの年越しあたりの微妙さと比べると、格段に印象はいい。特に、前半で長々と尾を引いていた問題にいい形で決着をつけたのが効いています。

 そのうえでちゃんと、年明け以降の布石も、とりあえず静かに提示している。従来のシリーズにも登場していながら、大きな問題の陰に隠れてしまっていた恋愛問題と、そして本シリーズ最初からぽつぽつりと波紋を齎していた大将の問題。……気づけば前回のシリーズよりも遥かに安心して、しかも評価しながら観ている私がいるのでした。

 多分視聴率はあまり振るっていないシリーズだと思うのですが、放送局も意義は認めているのか、年明けの次回はスペシャル版となるようです。正直、最近のTBSには眉をひそめることが多いのですが、この作品への態度だけは評価します。

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