『ARIA the ORIGINATION』第1話 その やがて訪れる春の風に…

 春が近づき、人々の心が浮き立つ中、けれど灯里の気持ちには一抹の不安が兆している。日々の忙しさにかまけてあまり勉強が進んでいない自分が、プリマになれる日が来るのだろうか? 地球からアリシア宛てに届けられた桜のジャムや紅茶を理由に、久々に三社の先輩・後輩が集ってのお茶会が催されると、話題はプリマたちの優れた仕事ぶりに及ぶのだった……

 ……すまん、なんかアリスの演技がおかしいぞ? 直前に『BAMBOO BLADE』が放送されていることを考慮して差別化しようとしているのか、なんか妙に不自然です。広橋涼って本来こんな下手ではないだろうに。アイのナレーションも旧作とちょっとイメージが違っているし、あちこちでブランクを意識させられました。

 とはいえ、新シリーズ初回ということもあってか、微妙に手の込んだアングルが多く、ヴィジュアルとしては見応えがありました。久々にこのスタッフの本気を観たような気がします。またEDはシリーズすべてを通して珠玉の仕上がり。先の『俗・さよなら絶望先生』でも痺れましたが、こちらは快い充足感が味わえた。

 が、話のほうは……如何に空気アニメと言い条、テンポも悪いしどうでもいい描写が多すぎる。脚本担当は、このシリーズ初期から私がいちばん低く評価しているあの人で、しかし色眼鏡で観ないように懸命に努力したのですが、これはやっぱり評価できない。折角映像の表現能力が高いのですからもっと委ねればいいものを、余計な台詞で壊しすぎです。まあ、前シリーズ序盤と比べればよほど良くなってはいるのですが。

 今回は後輩3人娘よりも、先輩3人の武勇伝が見せ場のはずなのですが、序盤で対比するべき要素を示さなかったために完璧に浮いてしまっている。過去のシリーズで提示されたエピソードを反復しているのは評価しますが、やっぱり致命的に構成が下手。人物の配置や言動も細かに不自然なところが多い。何とかならんのか。

 ……とまあ、厳しめに書いてはいますが、実のところ基本的に脚本の不備は折り込み済みなので、絵の美しさだけで充分満足していたり。旧作の印象を壊していない、という点では決して悪い脚本ではなく、ただこの作品については私がどーも高望みするきらいがあるというだけなのです。

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