『墓場鬼太郎』第八話 怪奇一番勝負

 食いっぱぐれた漫画家・村田は、日銭を稼ぐべく、アメリカ帰りの金丸という男の使用人となる。金丸の家は、彼が留守のあいだに幽霊が入り込んでしまっており、村田は早速その幽霊退治に駆り出された。訪れてみると、その家の表札は“墓場鬼太郎”にかけ替えられていた――

 原作通りなのかも知れませんが、鬼太郎の価値観にいまいち一貫性がないのが気になります。こないだまでいちおうは人間として暮らしていたんですから、蝋燭が食べ物でないことぐらい知っているでしょうに。また、能力についてもエピソードによって偏りがあるのが気になります。

 とはいえ、その辺の自在さが許容できれば、クラシックな怪奇談を丁寧に映像化した作品として優秀だと思えます。空き家に幽霊が侵入するというモチーフに、怪異における独特の規則性、それをすっかり自分のものとした映像技術で、背景と人物との差違を最小限に留めた見事なヴィジュアルとして昇華している。ほんとに、『妖』『モノノ怪』でやってきたことはここに至る伏線だったんじゃないか、と思えるくらいです。

 内容的な齟齬はあれど、単体で観ると独自の怪奇ものとして優秀な仕上がりになっている。ああ、和むなー。

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