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DIRECTORS LABEL ミシェル・ゴンドリー BEST SELECTION [DVD]

DIRECTORS LABEL ミシェル・ゴンドリー BEST SELECTION [DVD]

Daft Punk - Homework - Around the World

 本日鑑賞したのは映画ではなく、ミシェル・ゴンドリー監督がデビュー作『ヒューマン・ネイチュア』以前に撮ったPVやショート・フィルムなどを集めた2枚組のDVD。

 アカデミー賞でオリジナル脚本部門を受賞した『エターナル・サンシャイン』や『恋愛睡眠のすすめ』自体がアイディア満載でしたが、その自在な発想を音楽に合わせたこれらのPVの面白さは驚異的です。走行する列車の車窓から見える光景がリズムに合わせて変化するケミカル・ブラザーズの『Star Guiter』、カイリー・ミノーグが同じところをぐるぐるとまわりながら歌っているうちに同じ人が量産されていく『Come into my World』など、作っている光景が想像できない代物も秀逸ですが、引用したダフト・パンクのこの曲はわりと素直。円形に構築したステージで、音の種類ごとに全身包帯の人や骸骨をあしらった服を着た人などが踊っているさまを撮しているだけなのですが、この構成が実に見事。発想の根っこは幼稚なのですが、それを実現に移すためのアイディアがとにかく傑出していて、観ていると妙に刺激されます。

 しかし、こういうPVのような、発想の出所があって尺の短いものならストレートにその才能が伝わってくるのですが、長篇映画だと活きるとは限らないのがこの人の問題点。チャーリー・カウフマン畢生の脚本を得た『エターナル〜』はその発想の豊かさと内容がうまく合致して傑作に育ちましたが、自身の脚本による『恋愛睡眠〜』は発想の珍奇さと雰囲気とが先行していまいち刺激に乏しくまとまりに欠いた仕上がりになってしまった。他方で昨年はポール・マッカートニー最新作のPVを手懸けたものの、曲想がストレートだったがゆえかいまいちインパクトがなかった。ゴンドリー監督が活きるか否かは、どうも素材との相性にかかっているようです。

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