『キミ犯人じゃないよね?』第2話 華麗なる完全犯罪の彼女

 レストランの厨房で、経営者の男性が殺害された。出向いた宇田川警部補は例によって見習いシェフの我孫子に一目惚れして事件解決に意欲を燃やすが、そこでふたたび作家志望のさくらをバイトに雇うことに。ふたりは、事件の前に被害者と派手な言い争いをした男を探ろうとするが……

 どうしてこんなまともなミステリドラマに仕立てているのに、出版業界におけるミステリ評が現実離れしているのか解りません。ちなみにもう数年前から、ミステリと書くと売れない、と言われる状態が続いていますが、それを抜きにしても、まともなミステリを手懸ける編集者は死体の数なんか云々しませんし、殺人のないミステリなんか(面倒なので以下略)

 ……と書いてはみましたが、実際には話作りの上でのお約束みたいなものなので、そんなに気にはしていません。寧ろこのシリーズに、そもそも犯人を隠す意図がないらしいほうが気になります。だって、ゲストを明示していて、このサブタイトルでは考えるまでもなく明白でしょう。

 しかしそれを差し引いても、正直謎が単純すぎるのが問題。最初の件では推理する材料が足りないのですが、第2の事件はもう事件発覚の時点で何が起きたのか明白です。少なくとも、ある程度ミステリに親しんだものには見え見えのはず。

 ですが、前回に比べると組み立てはしっかりしていますし、最初に提示したキャラクターの肉付けやシリーズを通してのお約束を反芻して笑いを構築する手管は見事。何より、ヒロインの台詞回しにウイットが感じられるし、間抜けな刑事のキャラクターが活き活きしている。あちらは今日始まったばかりであることを差し引いても、今のところ『パズル』よりも面白さ、独自性は上回っている印象です。

 気になるのは、前回から仄めかしているさくらの過去ですが……まあ、一回一回が面白ければ、正直オチはどーだっていいのですよ。これで、ミステリ読みをも唸らせるプロットとトリックを盛り込んだエピソードが登場してくれれば言うことはないんですが、はてさて。

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