『トリハダ4〜夜ふかしのあなたにゾクッとする話を』

 今年はじめにやっていた3をたまたま目にして、『東京伝説』系統の話ながらなかなかよく出来た作品だったので、今回も偶然に番組表でタイトルを見つけたので鑑賞してみました。

 谷村美月が登場する断章の合間合間に6つのエピソードを挿入するスタイルは同じですが、前回よりもちょっと洗練された印象です……前回はそう気合いを入れて観ていたわけじゃありませんから、似たようなことはやっていたのかも知れませんが、途中の描写がなかなかに印象的だったので。

 個々のエピソードは、例えば隣人のストーカーとか、各所にばらまかれた手紙のネタあたりは予測がついたのですが、つくが故の怖さもあるのでそこは問題なし。ただ、逆に予想通りで更に予想を超えた描写が出来ていない話があるのも惜しまれます。特に電車のなかでの出来事なんかは、前回に近いテイストの話があっただけに尚更に。加えてこの話、周囲のリアクションが不自然であるため、どうも収まりが悪かった。あの人はそもそも何をしていたのか、そしてどうしてあのことに気がついたのか、そして駅員は何をしていた? 撮影の都合もあったんだろうな−、と裏事情まで想像させてしまう撮り方はちょっといただけない。

 秀逸だったのは単体エピソードの最後を飾る話です。途中までは有り体なネタかな、と思わせておいて、最後の最後にサブタイトルに秘めた意味が解る、その瞬間が絶妙。たぶん今回はこれがやりたかったのでしょう。実のところこのシチュエーションも前作の応用に過ぎないのですが、工夫が巧みなので好感触でした。

 そこに絡めるかたちで締めくくった谷村美月のエピソードは、しかし他の話が概ね現実の枠のなかで決着していたのに、ここだけきちんと説明がつけ切れていなかったのが残念。実はこの解決にいちばん期待を寄せていたのに−。観る側の注目する点とは違うところにサプライズを用意するのも常套手段とは言い条、全体を貫く論理がぶれるのはちょっといただけません。

 しかしまあ、作業しながらとは言え、夜ふかししながら観るのは実にゾクゾクする代物でした。私が出逢ったのは3作目だったので、旧2作も観てみたいのですが……未だにソフト化してないのよね。深夜とはいえ4回もやるんですから、そこそこ好評だと思うんですが、出さずに続けるつもりか?

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