混むのが当然の平日。

 毎度語ってますが、基本的に水曜日は映画館を避けてます。しかし今週、諸々の予定や自分のテンションを考慮した結果、行っといたほうがいいだろうと判断、重い腰を上げました。

 訪れたのは、池袋。最近、この周辺は単館上映の作品がかかることが少なく、あっても私は観る気のしないものがほとんどだったために、足が遠のいてました。今日は、観たかった作品がTOHOシネマズなどポイントの貯まる劇場でかかっておらず、かつ池袋で立ち寄りたいところがあったので、敢えてここを選択。

 東口から出て、サンシャイン通りに移動。途中、シネマサンシャインの窓口前に出来た大行列に言葉を失いつつ、私が向かったのは池袋HUMAXシネマズ4。実に約2年振りの訪問です。ここなんか特に、よく行くシネコンと作品が被っているためになかなか立ち寄るきっかけがありませんでした。劇場としてはけっこう好きなので、久々に来たかった、というのも今日ここを選んだ理由のひとつです。

 鑑賞したのは、原案となった小説が直木賞候補になった*1ことでも話題となった、僻村の医師を巡る謎と人間心理とを巧みに描いたドラマディア・ドクター』(ENGINE FILM×Asmik Ace・配給)西川美和監督の前作『ゆれる』を観逃してしまったことをずーっと悔やんでいて、絶対に劇場で観てやる、と念じていた1本です。伏線の張り方が丁寧で描写は緻密、娯楽映画に求められるカタルシスには乏しいものの、吟味する価値のあるいい作品でした。嗚呼、観られて良かった。

 ところで、本日訪れた池袋HUMAXシネマズ4はその名の通り4スクリーンを擁するシネコンで、1フロアに2つのスクリーンが入る形で上下に振り分けられている。

 私が鑑賞した『ディア・ドクター』と同じ階では『ごくせん THE MOVIE』を上映していたのですが、この2作品、もう笑えるくらい客層が違う。レディース・デーなので女性が多いのは当然ながら、『ごくせん』のほうは見るからに若い女性ばかり、『ディア・ドクター』は全体に年齢は高めでした。

 例によって私が前方の中央寄りに陣取っていたところ、上映開始も近い頃、前の列に女性のふたり連れが座った。この2人の容姿や、座ってからの様子を見るともなく眺めていて、どーも違和感を覚える。短いながらも上映された予告編の最中も喋るマナーの悪さもそうですが、雰囲気が若いのです。それこそ『ディア・ドクター』よりも『ごくせん THE MOVIE』を観に来ている、といった感じの。

 しかし映画を観に来る理由は人それぞれだし、もしかしたらもの凄い映画好きか、或いは瑛太のファンという可能性だってある。ずーっとこの調子なら注意した方がいいかな、と思いつつも、とりあえず様子を見ることにした。

 そして本篇が始まった。……やっぱりまだぺちゃくちゃと喋っている。この作品、序盤は特に静かだったので、尚更に耳障りでした。いい加減我慢できなくなってきたとき、不意にひとりが立ち上がって、劇場を出て行った。そしてすぐに戻ってくると、小声で、でも聞き取れるくらいに高い調子で、同行者に囁いた。

「これ、『ディア・ドクター』だって! 『ごくせん THE MOVIE』あっちだって!!」

 かくて2人の若い女の子は、慌てて劇場を出て行ったのでありました。

 ……注意してあげればよかった。

 映画を観たあと、近くでちょっとお買い物をして、西武の屋上で風に煽られながらうどんを啜り、それから帰宅。この夏いちばんの暑さで、帰ったときにはTシャツも下着もずぶ濡れでした。

*1:残念ながら落選。受賞したのは北村薫氏でした。

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