ゴミ収集車のなかから発見された腐乱屍体。ゴミ捨て場で死ぬのは麻薬中毒のストリート・チルドレンか里子、とあっさり決めつけて捜査にかかるサローヤン所長に、自身里子として育ったブレナン博士は反発する。屍体はマサチューセッツ工科大学への進学も期待された優秀な青年だったが、彼と共に家出したと見られている恋人は、火事で家族を失い、弟と共に里子に出された少女だった。境遇が、犯罪者を作ってしまうのか……?
捜査する側が抱きがちな思い込みと、新メンバーであるサローヤン所長と元々のレギュラー陣とが少しずつ理解し合っていく過程を描いた、シリーズの方向性に社会派な題材を噛み合わせた、なかなかよくできたエピソードです。ブレナン博士は反発するものの、未成年が絡む事件に多く携わってきた人間からすれば、社会的な弱者、恵まれない境遇にある者が犯罪の当事者になることは珍しくない。無論、そのまんま片がつくわけがないんですが、そこにブレナン博士とサローヤン所長との確執を織りこむことで、メンバー同士のドラマを少し進めている。
気になるのは、この事件の推移からすると、ある人物の行動がもっと早く絞り込めていれば別のルートでも解決するはずだったのでは、という疑問を残していることですが、まあこのくらいは許容範囲でしょう。前話ほどではないにせよ、いい仕上がりです。
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