- 『ふたりはプリキュア Vol.5』(Marverous Entertainment Inc.)
こちらは昨晩までに鑑賞。農作業のお手伝いで微妙に恋の嵐が吹き荒れる第17話、試験と同級生の告白にまつわる第18話、メップルとミップルの大喧嘩にイルクーボとの初交戦が絡む第19話、偽ほのかとの遭遇とポイズニーの最期までを描く第20話。
このあたりは中盤のハイライトと言ってもいいんじゃないでしょうか。絵の質はやや衰え気味ですが、物語の仕掛け方や描写の冴えは素晴らしい。なまじ人間の生活に馴染んでしまったが故に揺らぐキリヤや、ここに至って初めて大喧嘩するメップル&ミップル、というサブキャラの味付けがいい膨らみを齎してます。
特にプリキュアふたりの描写はここに来ていっそう充実してます。第18話のどーでもいいことをやたら凛々しく言い放つなぎさとか、第20話でなぎさが本物のほのかを見分けるきっかけなどは特に秀逸。のちのシリーズ作品にもある妙な説教臭さもこの辺りからちらついていますが、タイミングも重みものちの作品より優れている――ただ、子供向けとしては少し深刻すぎるし、敢えて結論を出さない部分も残した描き方は却って惑わせると判断して排除されたのかも知れませんけど。
- 『トロン』(ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント)
こちらは先刻、夕方に鑑賞。1982年、まだまだ黎明期だったCGを駆使して作られたSF映画です。年末にこれの続篇が3D映画として公開されるので、予習として鑑賞。汚名を雪ぐために会社のシステムに潜入しようとした男が、逆にデジタル化されて電脳世界に取り込まれてしまう、という話。
当時のCGで出来る物語を作ろうとした、というのは感じられるし、その努力は買うんですが、如何せんシナリオの構成が非常に稚拙。人物像の描き分けが出来ていないし、何をしたらどうなるのか、とかそもそも何をすれば事態は終息するのか、というのをちゃんと提示していないので、観ながら興奮もしなければカタルシスも得られない。
でも、細かなモチーフには魅力があるのです。ディスクを使用した戦闘や、軌跡がそのまま障壁になってじわじわと領域を狭めていく陣取りゲームに似たレース、レーザーに依拠した移動の手段などなど、掘り下げると面白そう。なのにそれがさらっとしか描かれていないのが欠点でもあり、翻って、そういうところを追求すれば結構膨らみそうなので、続篇を作る面白さはある。なので、年末公開の続篇『トロン:レガシー』にはむしろ期待をかけてみたくなっていたり。
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