夕方、イベント上映のため六本木へ。もはや何の疑問も抱かずに自転車にて移動……但し、日が暮れてから訪れたことはあまりないので、用心しつつ自転車を漕ぎました。六本木や銀座界隈、駅の周りは多少人出がありましたが、あとは暗いこと以外さほど辛くもなかった。
本日は、今週22日から公開される、『秘密結社鷹の爪』シリーズの総統こと小泉鈍一郎初主演作品『ハイブリッド刑事』(DLE Inc.配給)の先行上映です。
この作品、実は正式公開の際、チケット代がかかりません。チケット売り場で『「“トヨタ店”のハイブリッドを1枚」と甘くせつなくつぶや』くだけでいーんだそうです。料金はスポンサーであるトヨタ店が肩代わりしてくれる、という太っ腹な企画。その代わり上映期間は1週間、上映も全国のTOHOシネマズ系列の厳選された劇場でのみ行われますが、本気で無料上映、というだけでかなり大胆な企画だと思う。こういう漢気を前にすると何かしら貢献したくなるもので、今回イベント上映の話を聞くと、発売日にチケットを押さえ、今日を待ちわびておりました。
しかし、見出しに掲げた通り、このイベントはいちおー“時給マイナス2000円のアルバイト”という体裁になっている。時間延長による給与の増減なし、お仕事は映画を鑑賞して、ブログやツイッターなどで呟いて宣伝する、という条件なわけだ――要は私が年がら年中やっていることですが。
22日まで待てばタダで観られるのにわざわざお金を払ってやって来たアルバイトの皆さんを慮ってか、サービス盛り沢山。まず入場者全員に特製風呂敷がプレゼントされ、上映開始前にはお馴染み『鷹の爪』の立役者FROGMAN監督と、ヒロインを演じた神田うのによる舞台挨拶、更には上映終了後に来年公開されるかも知れない『鷹の爪5』*1の出来たてほやほやのシナリオを、FROGMAN本人が朗読する、というイベントまでついてきた。
正直、神田うのの登壇はあまり期待していなかったのですが、これが案外面白かった。司会の方からの“サプライズなプレゼントはありましたか?”という問いに出て来た答がまー贅沢なこと。部屋の中を桜だ薔薇だで埋めつくすわ、東京タワーのイルミネーションでハートマークを出させるわ。FROGMANが「そんなに派手な話持ってませんよ」と辟易していた――わりには、当人も卵とヒヨコの中間のものを茹でた奴を貰った、というけっこうインパクトのある話を持ちだしてきましたが。
観ていて思ったのは、神田うのはプロだ、ということ。高飛車・世間知らずのお嬢様、というキャラクターを意識して身につけている。だからエピソード自体は鼻持ちならないですが、サービス精神は本物でした。そして肝心の本篇では、演じているのが当人のキャラクター通りなので、恐ろしいくらいのハマりよう。タレントを起用するなら、このくらいしてくれないと。
本篇のほうは、状況こそ違えど毎度の蛙男節、と言おうか、単純な絵にナンセンスなギャグ、でも時事ネタをうまく使っていて、ラストは意外と熱い。スポンサーのトヨタに関する宣伝も随所に挿入してますが、これは『鷹の爪』シリーズでもお馴染みの手法なので気にならない、というよりそれもちゃんとギャグとして利用しているので、これがタダで観られるなら非常にお得だと思います。
しかし、正直なところ今日のイベントでいちばん感激したのは、最後のFROGMANによる生朗読のコーナーでした。ほとんどの声をひとりで、しかもダビングするのではなくその都度切り替えて演じている、というのは前々からイベントで言及していましたが、それを生でやられるとかなりの衝撃です。無論、何年もやっているとはいえ基本的には素人なので、あちこち噛むわ、スクリーンに表示したテキストに追いつかず無駄に早口になったりとばたついていましたけれど、そのライヴ感も含めて、料金ぶんたっぷりと愉しませていただきました。ちなみに、ごく一部だけお披露目された『鷹の爪5』の内容もけっこう驚きでしたが、ここだけは口外無用、という指示だったので、内緒。
何にせよ、ちゃんとした映画館で、短めとはいえ1本まるまる生で鑑賞できる、というだけでも稀有な企画なのに、内容的にもけっこう愉しめること請け合いなので、興味がおありの方は公式サイト http://haideka.jp/ で上映館をご確認のうえ、お近くの劇場まで足を運んでください。ついでに公式サイトのQRコードを読み取ってトヨタ店のメールマガジンを購読するとなお良し。
……よし、責務は果たしたぞ。
*1:前作は『鷹の爪3』でしたが、4は不吉だからということで飛ばされた模様。但し、3の限定版あたりにその名を冠した作品が収録されていた、はず。
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