先週末は、体調の悪さに抗いきれず、出かけること自体を取りやめました。『ディア・ハンター』以降、実に10日も映画館を訪れていない。昨年あれだけ通い詰めたくせに未だ足りないのか、と問われれば、むしろそれだけ通い詰めたから物足りなくて仕方ないのです、と応えます。ちょうど今日は愉しみにしている作品の封切り日でもあるし、うまい具合にハシゴのスケジュールも組めたので、今日までにある程度恢復させる意を固めたうえで、TOHOシネマズの前日購入が可能になったところでさっさとチケットを押さえました。
……が、昨日の更新が映画感想のみで止まっているところからもお解りいただけるでしょうが、またしても夕方以降に不調を来した。鼻水も頭痛もだいたい治まったのに、胃が依然として落ち着かない――そもそも胃は昨年暮れにかなり激しく傷めていますから、その分恢復が遅いのかも知れません。今朝になって若干落ち着いたものの、まだ食事を摂るとしばらく辛く、仮眠もよく取れなかったのですが、チケットが勿体ないし、私の場合はこれ以上映画鑑賞を控えると精神衛生的によくないので、意地でお出かけ。ただし、自転車はまだ不安だし、長時間駐めておける場所も思い浮かばないので、電車を利用しました。
まず訪れたのは、TOHOシネマズスカラ座。まだ早い時刻なんですが、映画サービスデーということもあってかそこそこの人の入り。
本日1本目は、漫画を原作に、60年代の日本をVFXを駆使して再現、人情味溢れるストーリーが好評を博しているシリーズの第3作『ALWAYS 三丁目の夕日’64』(東宝配給)。初日に観逃して、ロングランに甘んじてなかなか足を運ばず、という劇場で観られなくなってしまうパターンにハマりかかっていたのですが、スケジュールがうまく噛み合ったので、どうにか鑑賞。
色々言う人も多いですが、世界観に乱れはなく快い仕上がり。演出的にはやっぱり「?」と首を傾げるところもあるんですが、シナリオがまとまっているので素直に浸れます。ただ、もともと原作が一部の視点に絞って描いていたものではないのだから、そろそろ茶川家&鈴木家から離れても良かった気はする。対比がうまい分、けっこう重大な問題が顕わになりつつあるような。とはいえ、基本的には安定の出来映えです。
鑑賞したあと、急いで次の劇場であるTOHOシネマズ有楽座へ。多少ギリギリでも、Vitでチケットを押さえてあるから大丈夫、と高を括っていたら、Vitの端末が2台しかないために、結構な行列が出来てました……映画サービスデーでしかも先日アカデミー賞でも話題となった作品、そのうえ一般の皆さんも仕事が終わったくらいの時刻なので、そりゃあ混むに決まっている。劇場側はこーいうときの対策も考えて欲しい。並ばなくて済む、というのが売りのインターネット販売で並ばせちゃ意味がないだろ。
それはともかく本日2本目は映画サービスデーに合わせての封切りとなった、アカデミー賞5部門受賞、ブライアン・セルズニックの書籍をマーティン・スコセッシ監督が初となる3D技術を用いて実写映画化した、『ヒューゴの不思議な発明』(Paramount Pictures Japan配給)。アカデミー賞での話題性もさることながら、暴力描写のないスコセッシ作品であり、しかもヒロインにはあの“ヒット・ガール”ことクロエ・グレース・モレッツがあてがわれている、とあっては観逃すわけにはいかない。
観ると、ああこれは高く評価されるのも当然、と感じる傑作。ごく初期の映画をモチーフに採り入れ、それを最新の技術で描き出す、という発想自体が映画好きにはたまりませんが、冒険もの、ファンタジーものの魅力、その意味合いなどがこれでもかとばかり詰めこまれている。アカデミー賞で主要部門を逃したのも、個人的にはちょっと納得できる部分があるんですが、それでも非常にいい映画なのは間違いない。これまでに鑑賞したスコセッシ監督作品では間違いなく一番好き。
……それにしてもこの2本、本当にただ優先順位とスケジュールの都合を考慮した結果続けて観ることとなっただけなんですが、いざ観てみると、あちこちに通じるところがあって驚きました。セットやCGを駆使して蘇らせた往年の都市、窓から見える光景には、その街のシンボルとなる塔が聳えている。内容的にも映像的にも後者のほうが洗練されているのは確かですが、なんにしても、どちらとも鑑賞出来て良かった。
『ブラタモリ』が始まる少し前に帰宅、夕食を摂り、入浴も済ませたので、ぼちぼち作業に戻らねばならない――ところなのですが、日中に仮眠に失敗したことも手伝って、早くも眠気との戦いが始まっております。いまの体調では抵抗するほどにあとあと響きそうな気がしますので、本日も見出しなどの追加更新はなしのまま沈んでしまうかも知れません……感想なんて手をつける余裕すらないです。
コメント