この前、神保町シアターで開催された『80年代ノスタルジア』に5回足を運び、スタンプカードが貯まりましたが、そのあとで足を運ぶ機会がなく、次の特集も終盤になって、ようやく時間が出来、かつどーしても劇場で観ておきたい作品がかかることになったので、本日夕方からお出かけ。ポイント鑑賞なので、タダというのも有り難いしー。
現在の特集は、かつて長年に亘って愛すべき“おばあちゃん”を好演した飯田蝶子をはじめ、老け役で存在感を発揮した女優たちの作品を集めた『飯田蝶子とにっぽんのおばあちゃん』。趣旨としてはあんまりピンと来ないものの、それなりに観たい作品はあったのですが、6月はあのザマだったのでほとんどスルーしてました。しかし、今日のだけはどうしても観たかったのです。主演は北林谷栄、原作・天藤真、監督&脚色・岡本喜八による本邦誘拐映画の大傑作『大誘拐 RAINBOW KIDS』(東宝配給)。原作は既読、映画自体もかつて地上波で鑑賞して文句なく面白いのは解ってますが、だからこそ劇場で観たかったのです。
それなりに色々と映画を観てきたうえで改めて鑑賞すると、誘拐ミステリとしても出色ですが、そのアイディアを映像的に活かす手腕も優れている。そうと気づかぬうちに犯人、被害者、警察が交錯する瞬間をユーモアたっぷりに見せるところや、犯人側からの連絡のアイディア、それに対する警察側の絶妙な反応、そして交渉の場面でのインパクト充分すぎる趣向、その絵的な面白さを存分に組み込んでいる。登場人物がみなそれぞれに魅力的で、しかも基本誰も傷つかない。こんな誘拐もの、たぶんそう簡単には登場しません。時代を超える傑作だと思います――主題歌だけはちょっと時代の匂いが濃厚になっちゃいましたが。
この『おばあちゃん』特集は明日で終了、そのあとは神保町シアター5周年企画として、これまでの企画にて新たにプリントした作品ばかりを上映するのだとか。……今月は封切りをなるべくフォローするつもりなので、敢えて細かくはチェックしてませんが。今後もここはフィルム上映にこだわって古い作品をかけてくれるようなので、なるべく足を運びたいところ。
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