最近のお買い物ピックアップ/うえやま洋介犬『イマワノキワ』

イマワノキワ (Flex Comix)

イマワノキワ (Flex Comix)

 ふたつめのピックアップは、8月11日、映画鑑賞の前に購入したこちら。漫画形式のショートホラー『誘怪犯』以降、ホラー作品を多く執筆しているうえやま洋介犬氏の最新単行本。

 先月発売したのは腐女子である奥方の生態を綴った、ある意味ホラーという体のエッセイで、あちらも私は好きなんですが、これもけっこう待望でした。『週刊少年チャンピオン』に昨年連載されていましたが、1回6ページの短さゆえか、終了しても単行本化という情報が出て来ず、残念に思っていたところへ、出版社は変わりましたが発売の報。何故か公式には12日日曜日発売というアナウンスになってましたが、出版物でそりゃー普通はない、と解っていたため、11日に探してきた次第。

 最近このまんまBLに流れてしまうんじゃまいか、と若干本気で不安を抱いてましたが、やっぱりこの著者のホラーは巧い。イマワノキワという聞き手が極上の怖い話を貪る、という統一したシチュエーションの中で、一般の怪談よりグロテスク、そしてあり得ないバッドエンドを堪能させてくれてます。

 どの話もいいのですが、やっぱり出色は書き下ろし4作のトリを飾る最終話。著者はツイッターで“怪談へのリスペクト”といったことを仰言っていましたが、確かにその通り。この境地で語り、貪るから、業が深い。

 これ以外で個人的に興味深かったのは、人の顔が皮膚の下、筋肉が透けた状態で見えてしまう男の話。『誘怪犯』のなかに、写真に映ると自分以外の人の目が真っ黒になる、という女性の話がありましたが、あれを更にイヤな手触りにアップグレードしたような印象。著者が自覚されてやったのかは定かではありませんが(意外と、昔描いたもののことをあっさり忘れて、同じような題材を反復してしまうことはよくある)、なかなか面白いポイントだと思います。

『くさったよめがあらわれた!』も本書もまさかの、そして嬉しい書籍化でしたが、私としては以前、Webコミックとして連載されていた『ヤミツキ』も紙の書籍で読みたい。たぶん本書が売れると、その実現の可能性も高まる気がしているので、これもピックアップで採り上げてみました。

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