相変わらず作業でいっぱいいっぱいで、なかなか映画感想の宿題に手をつけられませんが、それで観たいものを逃すとどうも気持ちにしこりが残ってしまう――と毎度ながらの言い訳をして、今日も夕方からお出かけです。
残暑の厳しい夕刻に赴いたのは、ユナイテッド・シネマ豊洲。鑑賞したのは、『特攻野郎A-TEAM THE MOVIE』など重量感のあるアクション演出に定評のあるジョー・カーナハン監督作品、アラスカの雪原に墜落した人々が、狼に命を脅かされながら生き延びようとする姿を描いたサヴァイヴァル映画『THE GREY 凍える太陽』(Showgate配給)。
教訓も何もなく、ひたすら極寒の世界での過酷なサヴァイヴァルを描くことにこだわった冒険映画。ホラー映画のようにひとり、またひとりと殺されていくのですが、その無情さがより濃密。そして途方もなく悲劇的なのに、奇妙な力強さがあります。サヴァイヴァル映画にして、正統派のハードボイルド映画、という気がしました。
……しかし今回、久々の状況にちょっと参りました。上映開始ギリギリにスクリーンに赴き、何気なく場内を見回すと、誰もいない。あとから来るだろう、と思って座っていても、誰も来ない。久々に、スクリーン独り占め状態でした。
観ている本数が多いせいもあって、2、3回ほどこういう経験はあって、以前に別の劇場で話を聞いたところ、まったく客が入っていない場合、省電力モードにするらしい。やり方は劇場によって異なるでしょうが、ひとりに対して上映を行うのはコストパフォーマンスがいいはずもなく、気づいた瞬間からいたたまれなくなる。そのうえ内容が内容なので、周辺を狼の気配が取り囲むシーンが身に沁みるほど怖い。終盤、リーアム・ニーソン演じる主人公の孤独にも必要以上に共感してしまったり。この作品を愉しむためには、ある意味で絶好のシチュエーションではありましたが、やたらと気が咎めます。ユナイテッド・シネマ豊洲での上映は明日で終了ですが、もし気になっている方、行けるようなら是非豊洲まで足を運んであげてください……。
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