一週間にわたった東京国際映画祭も、本日で終了です。あれこれ片付かなかったために、予めチケットを確保していた作品以外はひとつも鑑賞できなかったのが残念。
しかし確保した作品はちゃんと観る。生憎の陽気で、自転車での移動は如何ともし難い状況ですが、夕方から電車にて六本木へ。
既にクロージング・セレモニーは終わり、作品が上映されるのみではありますが、それでも、というか、だからこそその名に偽りのない公式クロージング作品です。『グラン・トリノ』以来のクリント・イーストウッド主演作、年老いて引退の窮地に立たされたスカウトマンの、最後になるかも知れない仕事を、娘との交流を絡めて描く『人生の特等席』(Warner Bros.配給)。
……何と言ったらいいのかしらね、この快さ。観ながら思い出すのは、『ブロンコ・ビリー』のような、一時期イーストウッドが立て続けに撮っていたような、人情味のある作品でした。しかし手管は遥かに洗練され、話運びにそつがない。ユーモアも織り交ぜつつ、シンプルながらしっかりとした伏線も用意されているから、結末の気持ちいいこと。とても地味ですが、間然するところのほとんどない良品。私はもう、大好き、と言うしかありません。11月23日からの劇場公開が決まっていますが、たぶんもう1回観に行く。そのくらい好き。
というわけで、私にとっても今年の東京国際映画祭は終了……本当は他にもあと2、3本観たいのがあったのですが、あらゆる点で余裕がなかったため、最初に押さえた4本止まりになってしまったのが無念。『レッド・ライト』とか『沈黙の夜』とか、非常に私好みそうなタイトルをことごとく見送らねばならなかったのです。来年はもっと色々観られればいいなー……
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