『コンフィデンス』

コンフィデンス [DVD]

原題:“Confidence” / 監督:ジェームズ・フォーリー / 脚本:ダグ・ユング / 製作:マイケル・バーンズ、マーク・バタン、マイケル・オホーヴェン、マイケル・パセオネック / 製作総指揮:スコット・バーンスタイン、エバーハード・ケイサー、エリック・コペロフ、マルコ・メーリッツ / 共同製作:ジョン・サッシ / 撮影監督:ファン・ルイス・アンシア,A.S.C,A.E.C. / プロダクション・デザイナー:ウィリアム・アーノルド / 編集:スチュアート・レヴィ / 衣装:ミシェル・ミッチェル / キャスティング:シェイラ・ジャッフェ,C.S.A.、ジョージアン・ウォーケン,C.S.A. / 音楽:クリストフ・ベック / 出演:エドワード・バーンズレイチェル・ワイズアンディ・ガルシアダスティン・ホフマンポール・ジアマッティ、ブライアン・ヴァン・ホルト、フランキー・G、ロバート・フォスタールイス・ガスマン、モーリス・チェスナット、ドナル・ローグ、リーランド・オーサー、ニコール・レンツ、ルイ・ロンバルディ / イグナイト・エンタテインメント&シネホワイト製作 / 配給:GAGA HUMAX / 映像ソフト発売元:日活

2003年アメリカ作品 / 上映時間:1時間37分 / 日本語字幕:栗原とみ子

2004年2月7日日本公開

2004年8月6日映像ソフト日本盤発売 [DVD Video:amazon]

DVD Videoにて初見(2014/01/18)



[粗筋]

 ジェイク(エドワード・バーンズ)は凄腕の詐欺師だ。頭脳明晰で用意周到、カモを引っかけるためのお膳立てには決して手を抜かない。

 だが、15万ドルを狙ったヤマで、彼はドジを踏んでしまう。ジェイクがカモにしたライオネル(リーランド・オーサー)という男は、組織には属さないが、容赦のないやり口で裏社会に名の通ったキング(ダスティン・ホフマン)の会計士だったのだ。カモは無論、サクラ役のアル(ルイ・ロンバルディ)を始末され、ゴドー(ポール・ジアマッティ)とマイルス(ブライアン・ヴァン・ホルト)は動揺するが、ジェイクはすぐさま起死回生の布石を打つ。

 ジェイクがまず接触したのは、あろうことかキング本人であった。ジェイクは、奪った金をかえすつもりが一切ないことを堂々と告げると、新たに大きな仕事を仕掛け、それで借りを返す、と提案する。キングは鷹揚に笑い、条件をつけることで、この不遜な申し出を受け入れた。

 条件のひとつは、お目付役としてキングの部下・ルーパス(フランキー・G)を仲間に加えること。もうひとつは、計画の標的をモーガン・プライス(ロバート・フォスター)に定めること。プライスは資金洗浄を専門とする悪党で、年間10億ドルという裏金を扱っている。キングは日ごろから羨んでいるこの商売敵に、この好機を利用して憂さ晴らしを仕掛けるつもりらしかった。

 ジェイクはこの厄介な相手に、得意の信用詐欺を仕掛けることにした。悪党と取引を重ねて用心深いプライスは以前に同様の詐欺を阻止しているため、ゴドーらは不安を漏らすが、ジェイクは準備を周到に行えば今でも有効な方法だ、と主張する。何より、強突く張りのキングを納得させるには、他に策はなかった。

 街中でジェイクの財布を狙ったスリ師の女・リリー(レイチェル・ワイズ)を新たなサクラ役として迎え入れたジェイクたちは、確実なカモを選ぶため、プライスの経営する銀行の職員を物色し始めた……

[感想]

 オープニング、タイトルが表示されると、“CON”の3文字だけが赤く強調される。詐欺を題材とするフィクション“コン・ゲーム”を想起させる趣向が、作品の方向性を仄めかしているかのようで、ひとによってはこの時点で心を鷲掴みにされてしまうはずだ。

 ただ、いわゆるコン・ゲーム映画としては少々、駆け引きが乏しく思える。それよりは、キングによる結果に拘泥しない横槍や、脱線気味に映るジェイクのリリーに対するアプローチなど、騙し合いとは別のところで話が進んでいるように見えているせいだろう。終わってみれば決して無意味ではない描写ばかりだが、タイトルにまで凝らした趣向から、終始途切れない知的な細工の面白さや、息詰まる駆け引きの演出する興奮、といったものを期待しすぎると、ちょっとアテが外れた気分になるのではなかろうか。

 もうひとつ気になったのは、騙し合い、というのとは違う次元で凝ってしまった部分だ。本篇はほぼすべての計画が終わった段階で、ジェイクがトラヴィス(モーリス・チェスナット)から拳銃を突きつけられて、ことの経緯を説明している、という体裁で物語を綴っていく、かのように映る。だが、それに加えて、ジェイクがカメラ目線で、自らの仕事のやり方を観客に向かって解説するような表現を用いているが、正直なところ、この描写が若干、作品の視点を曖昧なものにしてしまっているように感じた。今から殺されようとしている人間の語りにしてはあまりに余裕があるし、アレほど切迫した断章を埋め込んでいるわりには洒脱すぎて、観ている側が緊張感を味わいにくい。どちらか一方、というよりも、観客に語りかける趣向自体は、省いても良かったように思う――とはいえ、このくだりが物語に幾分とぼけたような持ち味を与えており、それこそが魅力だ、と感じるひともいるはずなので、一概に否定はしにくいのだが。

 やや引っかかるところはあるものの、それをあまり意識させることなくグイグイと惹きつけるテンポの良さ、構成の巧さは、だからこそ高く評価すべきポイントだろう。コン・ゲーム本来の面白さと異なるとは言い条、先読みのしにくい展開が繰り返し、目が離せない。一見お飾り的な立ち位置にいた人物が途中から意外な存在感を発揮したり、意外なところにトラップが仕掛けられていたり、などなど、コン・ゲームの魅力とは違うものの、観客を振り回す工夫は細かにちりばめられている。

 器量や頭の中が読み切れない主人公の雰囲気もいいが、しかし本篇において突出した存在感を発揮しているのは、やはりダスティン・ホフマンだ。如何にも悪党然として、近寄りたくない雰囲気を漂わせながらも、マフィアのドンのような貫禄には乏しい。欲望と縄張りばかりが肥大した小悪党、という少し風変わりなキャラクターを、実に不気味に、しかしコミカルに演じている。前述した視点の曖昧さがあまり引っかからないのは、彼がこの“キング”という役から引き出した愛嬌によるところが大きい。

 本篇の結末の趣向自体は、察することは難しくない。ただ、観終わったとき、そこに痛快さや粋さを感じさせるために、きちんと組み立てている。ダスティン・ホフマンレイチェル・ワイズといったオスカー受賞者、アンディ・ガルシアポール・ジアマッティといった実力のある俳優が名を連ねたわりにもうひとつ大きさを感じにくいのが勿体ないが、なかなか気の利いた仕上がりのエンタテインメントだ。

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コメント

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