父はインフルエンザで唸っていますが、私はいまのところ体調はそれほど悪くない――が、どうにも気分が乗らない。フリーパスを獲得したので、今日も出かけるつもりでいたのですが、きのう1日、日本橋で粘っているうちに気疲れしたせいか、また人混みに飛び込んでいく気になれず、お出かけ自体を断念。
それでは、レンタルしてあるDVDでも消化するか、とパソコンで再生を始めたのですが、これも気乗りせずにいったん停止。決して映画に倦んだわけではないし、借りた作品の出来が悪いわけでもない。借りたDVDの画質が、耐えられないくらいに悪いのです。
観ようとしていたのは敬愛するマノエル・ド・オリヴェイラ監督の、私が映画道楽にハマるちょっと前にリリースした作品でした。この監督の作品は構図の美しさや、じっくりと構えたカメラで捉える繊細な間が魅力なんですが、それらが台無しになるレベルで映像が汚い。当時はまだフィルムで撮っていたのは間違いないでしょうが、このDVDの映像はまるで、一般の劇場で上映されたものをカメラで撮影したような感じで、細部が完全に潰れてしまっている。どれほどオリヴェイラ作品に魅力を感じていても、いや感じているからこそ、それを殺すこの仕上がりに耐えられない。
実はこの作品、昨年秋頃に別の会社からDVDがリリースされている。最初のものより間違いなく大きな会社ですし、時間が経って画質に対する意識が変化しているいま、或いはそちらならもっと満足のいく画質で収録されているのかも知れません。実際のところは不明ですが、そう思ってしまうと、なおさらにこのクオリティに辛抱出来なくなってしまう。
月額レンタルを利用しはじめて初めて、すべて観ずに返却する、という暴挙に出たい気分です。とはいえ、新しいヴァージョンが画質を向上させているかも解らない以上、あちらを買う、という選択肢も取りにくいわけで、いったいどうしたら――と悩んでいるうちにこんな時間だ。
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