なんだか色々とバタバタしていたり、期間限定上映のものなどを消化しよう、と努めたりしていたら、折角発行したTOHOシネマズのフリーパスなのに、まだ都合4本しか観ていません――『LIFE!』は観逃した冒頭をフォローするために2回鑑賞しましたが、まだそれだけ。故に、きのう他の劇場に走ったばかりですが、今日も出かけてきました。
これで今年8本目、遂に今年訪れた回数の多い劇場単独トップに躍り出てしまったTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、湊かなえの小説を『ゴールデンスランバー』の中村義洋監督が映画化、美人OL殺人事件を発端に、ネットでの情報拡散の怖さや人間の言動のあやふやさを描いたサスペンス『白ゆき姫殺人事件』(松竹配給)。
中村義洋監督は私にとって、縁があるのに作品を観る機会がない監督でした。『ほん呪』シリーズのナレーションで親しんでいるのに、どーいうわけか映画を観る機会が見つからない。それが相次ぐうちに逆に身構えてしまって、ますます妙に縁遠くなっていたのですが、今回の作品は原作未読ながら題材にも関心がありましたし、ちょうどフリーパスがあるのを幸い、思い切って鑑賞した次第。
非常に良質のサスペンス。ネットで情報が拡散されていき、次々と個人情報が暴かれ、そこに無数の憶測や嘘が紛れ込んでいく怖さを緻密に炙り出しながら、ちゃんとミステリとしての面白さも組み込んでいる。情報を提示するタイミングや構成の仕方も絶妙ですが、個人的には途中で出て来る、作中のワイドショーで用いられるドキュメンタリー映像の演出がもろに『ほん呪』タッチなのに思わず喜んでしまいました。
何はともあれ、今年に入って鑑賞した邦画のなかでは最高の出来映え、と断言します。これでようやく束縛から解かれたことですし、他の中村監督作品もDVDとかでちょっとずつ消化していきます……まずは借りっぱなしのものを何とかしないとね。
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