今年公開されるハリウッド版『ゴジラ』の監督を務めたギャレス・エドワーズの名を世界に轟かせた1本を、予習がてら鑑賞。飛来した地球外生命体の繁殖で封鎖されたメキシコを旅する、男女ふたりの姿を描く。
いわゆるモンスター映画、パニック映画として鑑賞しようとすると、その類の描写の乏しさに失望するでしょうが、本篇のポイントは、未知の生命体によって変わってしまった世界の空気を絶妙に具体化していることにあります。この状況でも危険な場所に赴こうとするひとびとと、脱出するひとびとに群がるハイエナめいた人間たちの行い。そんな中でも、しばしば交わされる、状況にそぐわない平穏な会話。パニック映画を志向していては出来ない空気、描写を、恐らくかなり限られた予算や撮影規模で実現していることに価値があります。正直、ロマンスめいた要素だけはちょっと邪魔かな、と感じたんですが、他は見事。なるほどこれなら、『ゴジラ』のリメイクに抜擢されたのも解ります。
……ただ、クリーチャー・デザインはさすがに安易すぎるかな、という気はします。映像的には実写にうまく馴染んでるんですが、まるっきりイカだもんなー……。
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