第25回東京国際映画祭 WORLD CINEMA部門のあまりに重すぎる作品。

 2日連続の東京国際映画祭参加であります。今日はメイン会場である六本木へ。そして昨日とは一転して陽気がいいので、自転車にて移動です。

 が、上映開始から2時間ぐらい早く出かけて、あえて渋谷まで足を伸ばす。来週のあるイベント付上映のチケットを押さえるためです……我ながら、そんなんまでチェックする必要はあるのか、とも思うのですが、いちおうは理由もある。また、これまで渋谷へ自転車で訪れるときは、神宮外苑を抜ける山だらけのルートを辿っていたのですが、よくよく考えると、六本木まで訪れるときのコースを延ばしたほうが楽かも、と思い、それを試してみたかったのです。案の定、アップダウンが若干控えめだったので、いままで利用していたルートより格段に楽。距離は長くなっていますが、今後はこっちから行くようにしましょ……ってことは、次のときも、体力が許すなら電車を使う必要は無いな……と。

 チケットを確保したのち、六本木にとって返す。途中、電話がかかってきたために、予定よりも時間を使ってしまい、余裕があったはずが開場時間ぴったりに現地に到着。若干慌てているときに、またぞろ手際の悪い係員に遭遇して頭に血が昇ったりしましたが、その辺は省略します。説明が長引くから。

 本日鑑賞したのは、実は個人的にこの映画祭でいちばん観ておきたかった作品です。『永遠のこどもたち』でホラー映画ながらサプライズ演出と胸に沁みるドラマ性を巧みに加味し鮮烈な印象を残したJ・A・バヨナ監督の新作、スマトラ沖地震の影響による津波に巻き込まれたスペイン人一家の体験を克明に再現した『インポッシブル(原題)』(日本配給未定)

 簡単な説明だけでも察しがつく通り、本篇は冒頭に津波のシーンがある。そのため、日本のテスト上映では退席するひとも現れたほどで、国内でのロードショーは難しそうなのですが、しかしこの監督の新作は待ち望んでいたので、どーしても観ておきたかった。そして、観て確信――これは、傑作です。ホラー的な趣向はないのですが、しかし圧倒的な出来事を前にして立ち現れる“恐怖”を巧みにすくい、見事な構成で緊張感さえも醸成する。大勢が犠牲となった悲劇の本質から決して目を逸らすことなく、しかし必死に生き延びたひとびとの姿を、まさに感動的に描き出している。日本人にとってはまだまだ生々しすぎ、終わったあと退場するひとたちのあいだにほとんど会話がない、という凄まじいばかりの重量感がありますが、私はこれ、観られるなら観ておいたほうがいいと思います。日本での配給は未だ決まっていませんが、どこか頑張ってくれないだろうか。

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