当初、今日は久々に豊洲まで足を伸ばすつもりでいました。が、昨日辺りから天気予報が不穏なものになり、今日になっていちおう晴れのマークはついたものの、湿度の高さからいつ降ってもおかしくないのは文字通り肌で感じる。あんまり遠出はしないほうが賢明だ、と思い、少し近くで済ませることにしました。ほんと、日本橋に映画館が出来て助かってます。
というわけで先週金曜日に続いて訪れたTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、独特の感性に彩られた作品を発表しつづけて人気を博すウェス・アンダーソン監督の最高傑作との誉れも高い新作、名門ホテルのコンシェルジュが老婦人の死をきっかけに冒険に身を投じる『グランド・ブダペスト・ホテル』(20世紀フォックス配給)。
噂通りに快い1本。時代設定を入れ子にすることで、多くの豪華なキャストを巧みに同居させ、不可思議な作品世界を構築している。殺人事件じたいに謎はないんですが、それを軸にやたらと右往左往するコンシェルジュとロビー・ボーイ、それに妙な秘密結社が絡んできたりして、様々な駆け引きが繰り広げられるのがとにかく楽しいのです。それでいて、ヨーロッパの辿った歴史をうまく採り入れ、人生の悲哀を巧みに織りこんでいるのに唸らされる。個人的には、前作『ムーンライズ・キングダム』の愛らしさのほうに軍配を上げますが、クオリティは間違いなくこっちのほうが上回っていると思います。これが全世界でヒットしている、というあたり、世の中捨てたもんじゃない。
なお、思惑通り、家に着くまでほとんど降られずに済みました。一滴も……と書こうとしたんですが、一滴は浴びたが故に躊躇ってしまった。
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