今月いちばん楽しみにしていた作品の封切り日です――が、朝からどうも調子が上がらない。出かけて出かけられないことはないけれど、映画を観て帰って、の数時間はちょっとしんどい気がする。しかも、観に行くつもりだった劇場のホームページから空席状況をチェックしていると、朝一番の回がどんどん埋まっている。或いは、劇場に着く頃には、観づらい席しか残っていないかも知れない。そうなると、無理をしてまで出かけても、余計に疲れる羽目になるかも知れない。
で、悩んだあげく、とりあえず朝一番の回に鑑賞するのは取りやめました。少し遅い時間に出かけ、夕方からの回のチケットを購入して離脱。家で食事を摂り、のんびりと過ごしてから再度出かける、というかたちにしました。夕方の回もかなりの混雑で、朝チケットを購入してもけっこう埋まっていたくらいですから、結果としては正しい判断だった、と思う。
TOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、イラク戦争で160人を狙撃し、英雄と称えられた人物の姿を、虚実交えて生々しく描き出したクリント・イーストウッド監督最新作『アメリカン・スナイパー(TCX)』(Warner Bros.配給)。アカデミー賞でも候補に挙がっているこの作品、ファンとしてはどーしても結果発表の前に観ておきたかったのです。賞を獲ろうと獲るまいと価値に変わりはないんですけど。
出来については何の不安も持ってませんでしたが、思った以上にエンタテインメントとしての組み立てが巧い。原作ではいちど触れられていただけらしい敵方の狙撃手を設定することで、繰り返し戦場に赴く主人公の行動に芯を通す一方で、戦場の狂気に蝕まれていく姿を大仰でなく、しかし着実に描いている。パンフレットによれば、本篇の戦争描写は議論を招いたようですが、観るひとによって理解が変わるのは、それだけ登場人物に対してフェアに描いていることの証でしょう。是非はさておき、こういう生き方をするしかなかった男の姿を見事にすくい上げた、イーストウッド監督らしい職人性の光る名篇でした。個人的には、アカデミー作品賞は難しいんじゃないかな、という気はしましたが、レベルは非常に高い。
それにしても、本当にこの上映はひとでいっぱいでした。私のようにゆったりと鑑賞したい、という者は、混雑する予感がある作品は、早めにチケットを確保して朝一番に駆けつけるのが最善だ、と改めて痛感しました……。
ちなみに体調のほうは、いまはそんなに悪くありません。何だろう、少し動いた方が落ち着くのかしら。
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