本日のお買い物

 発売は9月1日だけど当然のように既に届いている、ジャッキー・チェンDVDコレクション最新号です。作品は、壮絶なほどに複雑な背景で成立している珍品『ジャッキー・チェンの醒拳』です。

 あとになってみりゃまともに作れないのは当然だった作品で、そんななかでひねり出されたものですから、出来映えが珍妙なのは当然。ロー・ウェイ・プロダクションとの契約問題や、そこから急激にジャッキーが売れてしまったが故のひずみ、更には当時の香港独特の映画作りの慣習までが絡み合って誕生した本篇は、言ってみれば時代のサンプルのようなものです。作品の出来映えは微妙ですが(谷垣健治氏によれば、ジャッキー映画としてはともかく、カンフー映画としては充分観られる出来ではあるらしい)、そうした背景も色々知ってからだと、確かに普通に映画を観るのとは違う楽しみがある。冊子をきちんと読んで、その辺まで理解したうえで鑑賞出来るこの体裁は、本篇にとっては理想的なのかも知れません。

 ……しかしこれを、シリーズ全体で節目にあたり、そして全巻購読者向け特典として提供されるCDケース1冊目最後の1枚になるところで出さなくても、という気は、ちょっとする。1冊目は後ろから開くとまず目につくのがこれなのか。

 次号は、ジャッキーがカンフー映画からの脱皮を志し時間と費用を費やして撮影しながらも興行的に失敗に終わり、しかし結果として映画史に残る傑作『プロジェクトA』に繋がる布石ともなった偉大なる実験作『ドラゴンロード』です。……いよいよ初期作品のストックが尽きてきたけど、ちゃんと74号まで出るのかしら。

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