現在、台東区にて、すっかり恒例となったしたまちコメディ映画祭が開催されております。2年ほどタイミングが合わず足が遠のいてましたが、今回はチケット発売前に気づき、無事に押さえられました……複数鑑賞するのは、色々としんどいので諦め、いちばん馴染みのある映画秘宝まつりだけで。
というわけで訪れたのは、浅草寺の近くにある浅草公会堂。シルバーウィークなのでさすがに浅草辺りはすごい混雑で、自転車で通るのが一苦労でした。
町山智浩氏、高橋ヨシキ氏ら主要登壇者から簡単な挨拶のあと、まずは今回のお題となる新作の上映。今年の作品は『キャビン・フィーバー』『ホステル』のイーライ・ロス監督最新作、若き活動家たちが開発妨害のために乗り込んだジャングルで軽飛行機が墜落、とんでもない民族に捕らわれてヒドい目を見る、というグロテスク・ホラー『グリーン・インフェルノ』(Pony Canyon配給)。
先日、ツイッターのほうで『食人族』ブルーレイ版発売中止から発売元変更でリリース、という騒ぎがあったばかりですが、まさにこの作品にオマージュを捧げた作品で、つまりはゴアでモンドです。しかし、こういうのは突き詰めると笑いになる、というのも摂理、この映画祭に選ばれるのも解る。ただ、それもこれも容赦なく描いているからこそで、残酷描写に耐性のないひとにはなかなか来るはず。一方で、主要キャラの描写や彼らの行動に皮肉も多数織り込まれていて、一筋縄でいかない傑作でありました。
上映終了後、高橋ヨシキ氏が中心となり、“食人”をテーマとした映画についての解説。前述したとおり、そして本篇にも献辞があるとおり、ルッジェロ・デオタート監督『食人族』にオマージュを捧げているんですが、しかし実は内容的には『人喰族』を土台にしている、というのが興味深いところでした。私はあんまり他の映画からの引用、というのを(パロディとして笑いを取る、という狙いでもなければ)そんなに気にしないたちなのであまり気づきませんでしたが、しかしモンド映画としてよく出来ているのは確からしい。
イベントには途中から浅草キッドの水道橋博士氏、映画秘宝ライターのギンティ小林氏、特殊造形 師として知られる西村善廣氏も登壇し賑やかになったのですが、実は浅草公会堂は21時までしか使用できないため、話しすぎて時間が押せ押せになり、最後はかなりグダグダでした。せっかくの20周年記念のコメントも、流しながら主にギンティ小林が喚いているからろくに聞き取れなかったし。あんまり苛々したので呼び捨てにしました。
終盤はちょっとバタバタしてましたが、今年も楽しいイベントでありました……とはいえ、やっぱりこの映画秘宝の企画はもうちょっと時間に余裕を取った方がいいんじゃなかろうか。再来年には上野にTOHOシネマズが出来るので、出来たらそこでオールナイト企画を希望したい。新作だけじゃなくて、関連した旧作も上映するかたちで。
なお、『グリーン・インフェルノ』は今年11月28日に日本公開されます。観る人によってはおぞましく、観る人によっては抱腹絶倒、捉えようによっては黒さ濃密な怪作ですので、気になる方は是非公開時に劇場まで足を運んでいただきたい……しかし、これも『ムカデ人間3』と同じ新宿武蔵野館がメインなのよね。すっかりカルト作品の殿堂と化してしまった。
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