10日間にわたった第28回東京国際映画祭も本日で終了です。例年、何となく気になったものを拾う、というのを基本方針にしていて、賞についてはほとんど関心がなかったんですが、今回は初めて、観客賞受賞作品の上映回を押さえてみました。東京グランプリ受賞作にしなかったのは、自分で選ぶと小難しかったりバッドエンドになる作品に目をつけがちなので、これまでの例から“観て楽しい”作品が選ばれる傾向にある観客賞のほうが、最後を飾るにはちょうどいいかな、と思ったので。
上映前に、まずは発表と授賞式です。プレゼンターの紹介や挨拶なんかがありましたが、まあその辺はざっくり飛ばします。
今年度の観客賞受賞作は、イタリア作品、尊大な心臓外科医が、突如神父を志した息子を翻意させるために、息子に影響を与えた神父に接触することで繰り広げられるドタバタを描いた『神様の思し召し』(日本配給未定)。今年はコンペティション参加作品を2本観ていて、最悪の場合かち合うことも考えられましたが、それは無事に回避できた……っても、他の2本は『残穢』と『ガールズ・ハウス』で、前述した観客賞の傾向にまったく合わないので、そんなに心配はしてませんでしたけど。重複してても観るつもりでしたし。
作品自体は、なるほどの観ていて快い名品。終始軽快に進むストーリーの随所に笑いを誘うポイントがちりばめられてあってまったく退屈しません。しかも、毒があるのに決してイヤらしさがなく、処理が実に暖かい。ひとつ気になるのは、終盤での変化がちょっと急だ、という店なんですが、だからこそ変化が印象づけられている、というのも事実なのでこれは観る人によって評価が分かれるところでしょう。やや意外な結末も、しかし本篇のテーマにおいては正しいチョイスと言えますし、あの結末が強い痛みにならないのもポイントが高い。観ていて終始楽しく、観終わってからも優しい気分になれる、これは確かに好い映画です。現時点で日本での一般公開は決まってないんですが、これはきっと普通にかかるでしょう、GAGAあたりの配給で。
鑑賞後は、久しぶりにいつものうどん屋で昼食を摂ってから帰宅。ハロウィンとか知ったこっちゃありません。
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