本日は、土曜日に観るつもりが初回満席で見送った作品のリベンジです。生憎の空模様につき、今日の移動は電車を利用しました。
というわけで、かなり久方ぶりの渋谷・Bunkamuraル・シネマにて鑑賞した本日の作品は、『別離』に続いて2度目のアカデミー賞外国語映画部門賞獲得という栄誉に輝いたアスガー・ファルハディ監督作品、ある女性の襲撃事件を巡る心理サスペンス『セールスマン』(DOMA Inc.×STAR SANDS配給)。
アカデミー賞受賞、ということを抜きにしても、アスガー・ファルハディ監督作品だから、という理由で無茶苦茶楽しみにしていた1本でした。社会通念などにイスラム教独特の観念、価値観を窺わせつつも、複雑な心理ドラマを伝わりやすく、しかし一筋縄で行かないところに観客の感情を導いていく、という相変わらず端倪すべからざる1本。事件にあたっての人々の反応、警察に対する認識などがあまりに日本や欧米などと違いすぎて驚かされますが、最終的にはもっと根源的なところで登場人物、そして観る者の心を揺さぶる展開へと落とし込んでいく。あの結末は決して釈然としませんし、果たしてあの夫婦が物語のあとで平穏を得られるかどうか、と考えると心穏やかではいられませんが、ままならないことまで含めて、深い作品。個人的には先の『別離』のほうが観終わったあとの衝撃は大きかったですし、やっぱり本篇がオスカーに輝いたのはトランプ大統領に対する抗議の意識が強く働いたのだろう、と推測してしまいますが、それでも傑作には違いない。
それにしても、久々にル・シネマで鑑賞しましたが、オリジナルのラインナップに興味を惹かれるものがけっこう多い。TOHOシネマズなどのシネコンは小規模の作品もかかるので使い勝手はいいのですが、掘り出し物に巡り逢いたいなら、こういうところにも足を運ぶ必要がある、と改めて実感。また近いうちに来ましょう……バイクの駐輪場もわりと近くにあるし、ね。
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