今週は土曜日、久々に行きつけの蕎麦屋を訪れるついでに観るつもりの映画がありました。スケジュール的にもちょうど良かったのです――が、いざ当日が近づいてみたら、雨の予報が出ている。だんだんと、予測される雨の時間がだいぶ短縮されていったのですが、それでも出かける頃合いに直撃している。どうしよう、と首をひねりつつ、もういちど予定表を眺めてみたら、金曜日の予定のあとにぴったりとハマる時間に上映してるではありませんか。というわけで、貯まったポイントを利用してネット経由でチケットを確保、午後の用事を済ませたあとに大急ぎでTOHOシネマズ上野を訪れたのでした。
鑑賞したのは、小松重男の小説短篇3作を『後妻業の女』の鶴橋康夫監督が自ら脚色した時代喜劇、藩主の気まぐれで女性達に奉仕する裏稼業“猫の蚤取り”に身をやつした侍の奮闘ぶりを艶っぽくコミカルに描きだした『のみとり侍』(東宝配給)。予告篇の段階でやたらと気になってたので、早めに観るつもり満々でした。
好きか嫌いか、と問われたら間違いなく好きな作品。ただ、出来がいいか、と問われると、うーん。引っかかるのは、ストーリー展開のほとんどが、取って付けたような出来事や描写でひっくり返ること。ここまで一貫していると意識的なのでは? とも思えますが、だとしたらちょっと雑然としすぎてて、あんまり印象は良くない。ただ、個々のエピソードのアイディアや見せ方は素晴らしい。そしてメインキャストたちが、個性的なキャラを実に活き活きと演じていて大変楽しい。とりわけ豊川悦司は最高と言うほかありません。内容が内容であるだけに全年齢対象には出来ませんが、娯楽映画としては優秀だと思う。
それにしても豊川悦司は年を経るごとにいい俳優になってる気がします。現在の朝ドラ『半分、青い。』における漫画家・秋風羽織のぶっ飛びっぷりも楽しいのですが、本篇の堂々たる遊び人っぷりも絶品。主人公・寛之進と邂逅した直後、自身の身の上話のくだりは特に見所です。
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