最後のフリーパスは残り3日。観たい作品はまだまだ残っている。もちろんぜんぶ回収するのは無理でも、出来る限り有効活用したい。
というわけで、今週2度目の4本立てに挑んできました……自分でも馬鹿か、と思いますよ、ええ。でも観たい映画がいっぱいあって、奇跡的にいいスケジュールが組めてしまったんだから仕方ない。
本日の行き先は日比谷です。例によって4種類くらいリストを組んであったのですが、今回も幸いに第1候補のリストどおりにチケットが確保出来ました――結果、一部移動がけっこうタイトになってしまいましたが、そこは覚悟の上。
まずはTOHOシネマズ日比谷にて鑑賞した1本目は、ジャッキー・チェン主演最新作、『聊斎志異』の著者にして妖怪ハンター・蒲松齢の活躍を描くファンタジー・アクション『ナイト・オブ・シャドー 魔法拳(字幕)』(HARK配給)。最近のジャッキー映画の例に漏れず、吹替版も上映されてますが、やっぱし私はジャッキー自身の肉声を優先したかったので、この字幕版を中心に予定を組んでました。
……中国の大作ファンタジーって大味なイメージが強いんですが、正直その典型でした。ロマンスにユーモア、可愛らしい妖怪を出したうえにミュージカル・シークエンスまであっててんこ盛りですが、まとまりはあまり良くない。キャラクターの言動にいまいち芯が見えないのも問題で、せっかくジャッキーが貫禄で醸しだすオーラや、きちんと盛り込まれたアクション・シーンもあんまり有効に働いてない。よっぽどのジャッキー・ファンでないと楽しめないかも。
1本目を観たあとはいちど劇場を離脱、TOHOシネマズシャンテで3本目に観る作品のチケットを確保。こちらも問題なく押さえられたので、安心して昼食へ。銀座・日比谷界隈を訪れたときに利用するお店は微妙に距離があったり、提供に時間がかかる可能性があったので、映画館から近いところにあるラーメン店で食べました。いままで立ち寄ったことのない店なんですが、まだ11時台で客は少なく、つけ麺ではなく普通のラーメンを注文すれば早く出して貰えるはず、と信じて選んだのが正解でした。味も私好みで、急いでいた割にはしっかり堪能してしまった。
ふたたびTOHOシネマズ日比谷に赴いて鑑賞した本日2本目は、敬愛するクリント・イーストウッド監督最新作、1996年アトランタで発生した爆破事件で、爆弾を見つけて人命救助に貢献しながらも第一容疑者として世間から激しいバッシングを浴びた男性の戦いを映画化した『リチャード・ジュエル』(Warner Bros.配給)。
展開も作り方も『ハドソン川の奇跡』を想起させますが、あれよりも更に過酷な現実を描きだしている。本人の意志とは関わりなく祭りあげられた事実が気づけば“英雄願望”として叩かれ、マスメディアから容赦のない眼差しが注がれる。もともと法執行官になる夢があったジュエルが、信じていた警察官やFBIに追いつめられていく姿が痛々しい一方で、ときどき粗野な振る舞いを見せつつも飄々と、しかしクレバーにジュエルを守る弁護士が凜々しい。この弁護士、一昨日も2本目に観た『ジョジョ・ラビット』で好演していたサム・ロックウェルです。昔から好きな俳優だったのでこの活躍も嬉しい。決めつけの暴力に、ひたすら誠実さで戦い続けた結末はなかなか爽快です。
あまりに余韻がよかったので、エンドロール途中で断つことも出来ず、場内が明るくなってから早足で劇場を離脱、急いでTOHOシネマズシャンテへ移動。用も足したかったため、けっきょく予告篇はほとんど見逃しましたが、本篇には間に合いました。
というわけでTOHOシネマズシャンでにて鑑賞した本日3本目は、“シリアル・キラー”の語源にもなった伝説の連続殺人犯を、その恋人だった女性の目線で描きだした『テッド・バンディ』(PHANTOM FILM配給)。かつて『マーダーケース・ブック』も定期購読してた私としては観逃すわけにはいかなかった1本です。
これはなかなか面白い切り口でした。なにせ犯罪史上に残る人物ですから、殺害シーンを緻密に描きがちなところを、その周辺をすっぱり省き、恋人だった女性の目線と、裁判記録などで判明している言動だけで構成したことで、本当にこの男が犯人なのか解らない状態に置いている。それゆえに、表面の言動から見えるテッド・バンディという男の魅力と怖さがうまく表現されてます。エンドロールでは実際に公開された裁判の記録映像が引用されてますが、劇中でインパクトのある場面や台詞がほとんど現実通りだったことにも驚かされます。壮絶な現実をひとひねりした切り口でサスペンスとして昇華した好篇。ザック・エフロンの演技が見事でした。
ふたたびTOHOシネマズ日比谷に戻って鑑賞した本日のラストは、『LOGAN』のジェームズ・マンゴールド監督、マット・デイモン×クリスチャン・ベール主演、倒産寸前だったフォードが起死回生を賭けて当時ル・マンで最強だったフェラーリに挑んだ実話を映画化した『フォードvsフェラーリ(字幕・IMAX)』(Walt Disney Japan配給)。……しかし、20世紀フォックスのロゴが出てる作品を“ディズニー配給”って書くの、違和感があるなー……。
2時間半を費やしてじっくりと、しかしパワフルに描かれた人間ドラマです。完全に企業のエゴで始まったル・マンへの挑戦ながら、レースに命を賭ける男たちと経営者の論理が噛み合わず、レース以外のところでも戦いが繰り返される。そんな中で、しばしばいがみ合いながらも“限界まで早く”という目標に向けてマシンを生み出す主人公ふたりのやり取りが、熱くもユーモラスで微笑ましくさえある。そして、様々なトラブルを乗り越えたうえで展開するレース・シーンの圧倒的な昂揚感ときたら。このシーンを堪能したい一心でIMAX版を選んだのですが、正解でした。
……というわけで、今週2度目となる4本立ての挑戦も見事に完遂しました。これで最後のフリーパスにて鑑賞した本数も10本。あと2日残ってはいますが、まんいち利用できなかったとしても、ひとまず満足です……でもまあ、たぶんあと1本は観ますが。
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