超寡作で知られる山下達郎ですが、タイアップなどの事情でシングル曲はけっこう多く、オリジナル・アルバムのスパンが長いぶん、店頭に並ぶCDにはなかなか収録されなかった曲がけっこうある。そういうものを拾い集めた企画盤『RARITIES』より、1991年のシングル『さよなら夏の日』のカップリングとして発表された曲を。
このアルバム、そうした成立事情もあってか、完璧主義者で通る山下達郎作品としては、トータルでの仕上がりがやや弱い。通して聴くとどうしてもぎこちなさを感じてしまうのですが、しかしさすがに1曲1曲のクオリティは高く、抽出して聴くほうが良かったりします。この曲もその類で、アルバムに置くと埋没してしまいますが、カップリング曲だからこその程良く抜けた力加減と、しかし纏まりのしっかりした音作りとが際立ってます。
……そういえばしばらく前に風の噂で、『JOY』以来となるライヴ盤の製作にかかっている、というのを聞いたんですが、本当なのかなあ。もし本当なら、またこの人のことですから、とても長い期間をかけて収録されたものの中から抽出したとは思えない、見事な統一感のある作品にしようと悪戦苦闘してるんでしょうけれど。
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