病院の処置が遅れたためにひとり娘を失った女性。地獄通信にアクセスして藁人形を託されるが、だが彼女は同じ事故のために記憶障害を起こしており、時として怨みの記憶さえ失ってしまうのだった。しかも、たまたま訪れていた閻魔あい(岩田さゆり)を、死んだ娘と思いこんでしまい……
これは原作であるアニメにはなかった展開。恐らく実写版としてのシリーズ終盤を睨んでのことでしょうが、過剰に依頼人に深入りするあいという発想はいい。寧ろ原作でこれを未だにやっていないのが不思議なくらいです。第一期でいちどはやるべきテーマだったよなあ。そうすれば過去の事件が絡んできたときの激情に説得力が備わっただろうに。
しかし細部のいい加減さも相変わらず踏襲してます。記憶障害と認知症を一緒くたに捉えているような描き方は、医療ミスを主題にした話としてどうだろう。そして医療ミスの当事者のひとりである看護師の裏表の境目が雑すぎてリアリティがない。いくら悪人だからと言って、いやだからこそきっちりと線を引いていなければ可笑しいでしょう。そこまでして本当に恨みの対象として成立する。
他方、実写という制約があるからなのか、クライマックスの心理描写はアニメよりもずっと生々しく、地獄送りの場面はインパクト充分。この辺だけは実写にした意味があったように見えます――でも三途の川を越えている場面、あいの持っている櫂が歪んでいるのはなんとかしてくれんか。
どっちにしても、アニメ版第一期よりはずっとまともな出来になりつつある、と感じている今日この頃なのでした。まあ、下敷きにして改善する余地があるんだから、そうでないと困るわけですが。アニメ版だって二籠はだいぶ良くなっているのですし。……昨晩のは酷かったが。
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