「超」怖い話 超−1 怪コレクション vol.2

「超」怖い話 超−1 怪コレクション vol.2 「超」怖い話 超−1 怪コレクション vol.2』

加藤一[編]

判型:文庫判

レーベル:竹書房文庫

版元:竹書房

発行:2006年11月4日

isbn:4812429013

本体価格:571円

商品ページ:[bk1amazon]

 新たな執筆者を抜擢する目的で、インターネット上にて催された公募イベント『超−1』から派生した単行本2冊目は、応募作品のうち内容面で注目されたエピソードを、それぞれの執筆者が新たに語り直した、いわばセルフ・カヴァー集という体裁を取っている。

 前巻同様、そもそも大量に集められた中から良質のものだけを抽出しているので内容的な不満はほとんど感じず、収録にあたって手を加えているとのことで文章面でも忌憚がない。今後、新たに起用される執筆者も交えて再開する本シリーズの出来に却って不安を抱くぐらいのハイクオリティぶりである。個人的には『悪戯』『きみわるいはなし』『恐怖のドライブイン』あたりが特に印象深かった。

 他方、いちど形にしたものを改稿する際に、おかしな色気を出そうとしたのか、工夫しすぎて意味が取りにくい、また異様に書き方そのものが鼻につく出来になってしまったものが幾つかあるのが勿体ない。こと、短くまとめようとしたあまりに情景がまったく目に浮かばず、怖さも滑稽味も演出できていない『喜び組』、詳細を語れないということを詩のようにまとめた結果、文体の臭さばかりが際立って中身がまったく伝わらない『髷切り』の二篇は正直、どうしても評価できない。こと後者は、普通の文章にしていればよほど薄気味悪いエピソードであったと想像できるだけに惜しまれる。

 とはいえ、総体としては前巻同様、極めて高水準の怪談集であることは変わりない。引き続き発売される第3巻は全篇書き下ろしとなるそうだが、そちらにも改めて期待したいと思う。

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