眩暈のしそうなほど陽炎の立ちのぼる真夏日。恐がりの灯里に、藍華はサン・ミケーレ島へゴンドーレを誘う黒衣の女性の話をしてみせた。灯里はそのとき、たまたま待ち合わせの前に目に留めた黒衣の女性を思い浮かべる。日が暮れてひとりきりの帰り道、灯里はその女性に呼び止められるのだった……
原作のなかでも特に色濃い“怪談”を、実に忠実に丁寧に映像化してくれました。敢えて無音に近い場面を挿入したり、アップを中心に構成したり、背景に会話のみを重ねたり、と手を換え品を換え雰囲気作りに腐心して、終盤の幻想的と呼ぶほかないカタルシスへと導いていく。ところどころ作画が背景と合わなかったりしていましたが、そのぶん工夫と努力が伺われたので、好感度は非常に高い。
あとはもう少し灯里の不自然な独り言が少なければ……と思いますが、実際問題として、この娘は普通に年がら年中独り言を言っていそうなので、これはこれでいいのか。
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