第5話以来の2本立て、しかも前回に引き続き幻想編2話ですよ。季節の変わり目のお約束か?
- その 逃げ水を追って…
水平線に蜃気楼が浮かぶほど暑い夏の日。陽炎に包まれ朦朧としながら買い出しに赴いた灯里は、気づかぬうちに誰もいない、ただ夜光鈴の屋台だけが際限なく建ち並ぶ空間に迷い込む……
原作はときどきこういう良質の“怪談”が混ざっている点も評価しているのですが、アニメ版はその辺もちゃんと押さえてくれるのが嬉しい。春の幻想譚2本立てのクオリティは未だに今シリーズトップクラスですが、今回の再現率も上々でした。敢えて光を多くしたり、眩暈を誘うような演出がナイス。
- その 夜光鈴の光は…
アクア名物夜光鈴の市場に出かけた灯里。ひと夏を経た夜光鈴の粒は燃え尽きてしまうが、稀に結晶が残るという。灯里はひと夏のあいだ、アリア社長と共にゴンドラで海に繰り出し、夜光鈴の光の下でティータイムを楽しんだ。そして、夜光鈴との別れの時が近づく……
実は原作では、この前の話の結末で夜光鈴を貰う運びで、それを踏襲するのかと思いきや、切り離してあくまで夜光鈴エピソードをそのまま再現。変に連携させなかったのは良かったと思います。のどかな空気を保ちながら、話として間延びすることをうまく回避している。前半では顔見せだけだったレギュラーも、名前のあるモブキャラ程度ながらちゃんと登場させて、日常の枠に物語を収めた脚色は上質でした。灯里の口癖も必要以上に連呼させてなかったしねっ。
前の幻想譚2本立て同様、今回も前シリーズの優れたクオリティを正しく引き継いだ傑作でした。作画も、ごく一部に雑なところがあるくらいでほぼ問題なし。何より、アリア社長の猫っぽさと猫っぽくなさ、双方兼ね備えたキュートさを見事に表現していたのが良し。
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