プログラム切り替え直後の月曜日は新・午前十時の映画祭を観に行く日です。ちょっと前までは天気予報が微妙で、電車移動を覚悟していたんですが、いざ当日になると、曇りがちながら悪くない陽気。自転車で走って、昨日一日籠もっていた鬱憤がちょっとだけ晴れました。
いつも通りのTOHOシネマズ日本橋にて鑑賞したのは、ベルナルド・ベルトリッチ監督、音楽を担当した坂本龍一含め9部門でアカデミー賞を受賞した作品、清朝最後の皇帝であり、のちに日本の傀儡国家となる満州でも皇帝に即位、歴史に翻弄された男の一生を辿るドラマ『ラストエンペラー』(松竹富士初公開時配給)。
紫禁城を借り切って撮影されたその規模でも話題となった本篇、恵まれたロケーションを活かした壮大で美しいヴィジュアルのなか、自らは何も出来ないまま皇帝に祭り上げられ、そしてすべてを失っていく男の無力感、孤独を巧みに抉っています。城外では既に世界が変わっているのに何も知らず、利用するはずがけっきょく最後まで搾取され、いわれのない罪に問われる。自由に死ぬことさえ許されなかった男の悲劇が沁みます。あらゆるわがままが許される地位も、第2夫人まで娶ったことも、羨ましいとは思えない。この物語をさながら“胡蝶の夢”のように昇華させるラストの演出も絶妙な、当時の絶賛も頷ける名作でした。
ちなみに別グループで上映中のセットの作品は、本篇の同時代に生き、中国近代史に大きく関わり合った三姉妹を描いた『宋家の三姉妹』。なんとなく間を置かずに観たい気分ですが……諸々あるので、やっぱり次の入れ替え待ちかしら。
鑑賞後は、このあいだから行きたくて仕方なかった丸亀製麺に行って昼食を摂ってから帰宅。
今月、劇場で鑑賞したのはこれが8本目。久々にふた桁に届かず。多忙でなかなかタイミングが掴めないのもありますが……先週、出かけるだけ出かけて観なかったのは痛かった。
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