体調のほうはだいぶ落ち着いているんですが、何だかんだでバタバタしていて、なかなか映画館に足を運べません。しかし、年末にも触れたように、これは絶対に押さえねば、と思っていた作品をまだ鑑賞していなかったり、そして金曜日からはふたたび封切りが始まる、ということはまた観たい作品が増えていくわけで。何とか余裕を作って、心残りを減らしておかねばなりません。
そんなわけで、夕方から赴いたのはTOHOシネマズシャンテ。作品は、『ビフォア・ミッドナイト』のリチャード・リンクレイター監督が同じキャストを12年にわたって撮影、ひとりの男の子が大人になるまでをリアルに辿った『6才のボクが、大人になるまで。』(東宝東和配給)。リンクレイター監督の作品が大好きで、しかも世代の違う子役を使って短期間に撮るのではなく、12年間を費やして撮影する、というアイディアに非常に惹かれたので、是が非でも観たかった1本です――が、その構想ゆえなのか、2時間46分というかなりの長尺なので、観に行く時間がなかなか確保出来なかったのです。今日はほとんど意地で観に行った。
そして中身は、もう期待通りの傑作。物語としての大きなひねりがあるわけではないのですが、同じ人物をずっと同じ役者が、12年にわたって演じている、ということがもたらす実在感が圧倒的なのです。ひとつひとつのイベントはドラマとして有り体でも、世代の異なる子役を起用して撮ったドラマとは重みが違う。さらっとしたラストシーンに、わずか3時間で追体験した“想い出”がのしかかって、感慨さえ覚えてしまう。着想自体も秀逸ですが、これをこんなふうに撮れるのもリンクレイター監督の映画に対する持続的な情熱あってこそでしょう。3部作で夫婦の変化を辿った『ビフォア〜』シリーズもそうですが、こちらは更に稀有で幸せな作品だと思います。
これで、昨年観るつもりで取り漏らしてしまった大作はあとひとつ。そちらもそろそろ終了が近いはずなので、来週あたり押さえるつもりです。
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