久々に、変則的ハシゴ。

 三連休はどこも混雑が予想されたので、映画館参りを控えてました――どのみち土日は用事があったので、あんまり出かけられなかったのも事実なんですけど。

 しかし今日は、久々に行きつけの蕎麦屋に行きたかった、というのもあって、午前中からお出かけ。蕎麦屋に行くときはこちら、先日までは私にとってのメイン館だったTOHOシネマズ西新井です。位置的には日本橋のほうが近いので、状況次第ではあちらをメインにしようかしら、と考えてたんですが、どうも上映ラインナップを考えると、今後も何かと西新井を訪れることは多そうです。

 で、今日なにを観てきたかというと、この時期恒例のこちらです。プリキュアオールスターズ New Stage3/永遠のともだち』(東映配給)。いつもなら春休みが終わって、本来の対象層が減ってから観に来るのですが……なんか我慢出来なくなりまして。尺が短く、終了時間も早いので、観終わって行きつけの蕎麦屋に向かうと程良い時間だった、というのもある。

 このところストーリー性が高まり、昔の作品のキャストは登場を控え気味にしていたのに比べると、ストーリーが少し強引に、ただしオールスター感はかなり充実している。声優は一部欠けていますが、すべてのプリキュアを画面に登場させているし、台詞がないのを工夫して気づかせないようにしているあたりに巧さもある。また、ストーリー的にはかなり乱暴なんですが、“New Stage”3部作の締め括りに相応しい趣向もちゃんと用意していて、ぜんぶ観ていると満足感も強い――とはいえ、本来狙っている層カラすると、3回続けて、というのもわりとギリギリなので、ここまでかっしり作って良かったのかな、とも思うんですが、しかし基本的に私は評価します。……ざっくり言えば、愉しかった。

 鑑賞後は行きつけの蕎麦屋へ。いつもは店をやっているか電話で確認のうえお邪魔するんですが、記憶だとまだオープン前の時刻。もし子供たちの春休みに合わせて休みを取っていたら悪いかな、と思い、休店していてもいいや、とそのまま直行しました。幸いにちゃんと営業しており、訪れるのが早かったお陰か、ちょうどお昼ぐらいに食事が出来ました。

 そしてそのあと。

 いったん帰宅し、ちょこっと仮眠を取ってから、また出発です。今度の目的地はTOHOシネマズ日本橋。先週、あんなに長居したんだからもうちょっと間を空けても、と自分でも考えたんですが、折角フリーパスがありますから、ここでかかっている作品はなるべくここで観る、かつこの1ヶ月のうちにすべてのスクリーンをいちど体感しておく、なんて目標を立ててしまったので、余裕のあるうちに訪問するに限ります。

 恐らく大混雑だったオープン日と三連休を越えて、初めて平日の劇場を訪れたわけですが……どうやら、まだまだオペレーションの吟味が不充分らしい。

 オープンしたての時機というのは、どこの劇場でも、従業員以上に客のほうがシステムを理解していない。TOHOシネマズは自動券売機をメインに設置していますが、渋谷のときもそうだったように、新規オープンのあいだはどうしても有人窓口のほうにひとが並びやすいのです。しかもこの劇場は、新たに設けたTCXとDOLBY ATMOSの割増料金に、自動券売機やインターネットチケット販売がまだ対応していない。そのため、どう考えても有人窓口の需要は増える。にも拘わらず、有人のカウンターは僅か3つ。しかも、説明をすれば自動券売機で済みそうなひとを振り分ける工夫もしていないので、有人カウンターの列ばかりが溜まって、まったく前に進まなくなる、という状況が生じていた。

 これも文句を言ったところですが、まあこれはいい――システムを理解していれば予測できることとは言え、有人窓口が3つしかないのは現実なので、追々工夫してもらうしかない。問題はもう1点のほうです。

 私が鑑賞したスクリーン5は、他のスクリーンと比べて構造的にちょっと問題がある。スクリーンを前に見て、左横に入場口がある。入口までは、1回折れるものの、廊下がすぐに繋がっていて、他の劇場では用意されていることも珍しくない最初の扉がない。つまり、廊下からの明かりが入り込みやすい環境なのです。そんなことは、いちど観察すれば解る話で、劇場としては当然、開け閉めには少し踏み込んだ配慮が必要になる。

 上映が始まっているのに、誰も扉を閉めに来ませんでした。

 5分くらい経って、さすがにこれはおかしいだろう、と思い、私は低い態勢で席を外して出た。扉を閉めようとしましたが、ストッパーがしっかり嵌まっていて締められない。私はここ数日の眼の不調で、この暗がりではストッパーがどういうものなのか、どうやって外せばいいかも、この暗がりでは解らない。従業員を呼んでこよう、と視線を転じると、ちょうど廊下の角に、3人の従業員の姿が見えた。この角には従業員通用口があって、そこから出ようとしているらしい。後ろでは上映が始まっていますが、「ちょっと」と声をかけて注意を惹こうとしたのに、立ち止まりもせずに出ていった。

 普通なら扉を閉める配慮が必要なのに、そのチェックを怠っていたのもおかしいですが、もっと引っかかるのはこのときの従業員の行動です。私が呼び止めても行ってしまったのは聞こえなかったから、と好意的に解釈してもいいんですが、問題は、廊下の角に従業員用のドアがある、ということは、その向こうにも照明が存在している。つまり、スクリーン横の扉が開放されていれば、より強い光が届いてしまう危険があるわけで、余計に扉の状態に注意する必要があるのに、それさえ怠っていた。

 話を聞くと、スクリーン5の構造は劇場のほうでも理解していて、注意するようにしていた、と言うのですが、間違いなく浸透していない。いや、もし浸透していなくとも、映画館に幾度か足を運んだ者なら、スクリーン横の映り込みが気になるだろう、ということぐらい察しがつくはずなんですから、3人もいれば誰かが気づいて扉に注意をしてもいいはず。

 18日のコンセッションの大音声といい、初日の混乱ぶりといい、どうもTOHOシネマズは、他の劇場経営でのノウハウをちゃんと反映させていない、としか思えない。自分で言うのも何ですが、細かい性分かつあんまりほったらかしにできないので、こういうことは鳴るべくその場で指摘して、そこで終わりにしようと思い、ここではそんな詳細に触れてこなかったんですが、恐らくTOHOシネマズにとっても軽視できない立地条件にあるはずの日本橋における新規オープンでこのていたらく、というのはさすがに理解できない――しかもこの劇場、“アーバンラグジュアリーシネマ”なんてコピーで売っているのです。確かに施設は豪華ですけど、そんなものはサーヴィスの一部でしかなく、たとえば料理の美味しさで売っているレストランでも、実際に評価されるには従業員教育が必須であるように、映画館だって鑑賞時にストレスを与えないことをまず考慮してくれないと、映画を純粋に愉しむこと自体が難しくなるわけですから。

 軽く説教したあと、冒頭10分ぐらい経過してから場内に戻り、まあ作品自体は好みでしたのでじっくり愉しんだのですが、いざ本篇が終わったかと思うと、エンドロールになった途端に従業員が現れ、扉を開放していきやがりました。……いやまあ、そういう対処をする劇場も少なくない。ただそれは、たとえば扉を開きっぱなしにしていても明かりの映り込みが最小限で済む二重扉などの対策が施してあり、しかも両者を互い違いに開ける、などの工夫があるから、早めに退場する客に対しても、エンドロールを愉しみたいひとにも親切となる。しかし前述したように、思いっ切り映り込みがあるわけですから、退場するお客がいてもなるべく締めておくか、出来るなら従業員がひとり着いて、ドアの開閉を手伝うぐらいがちょうどいい。もしかしたら、私が注意していったから、急いで解放するよう対処したのかも知れませんが、それにしても気が利いている、とは言い難い。

 別に文句を言いに来たわけではなく、なるべくストレスなく愉しみたいだけなのです。なのに、初歩的なポイントで見落としが多い。それこそこのあいだフリーパスを発行したばかりで、来月19日までは可能な限り訪問するつもりでいるのに、これでは先が思いやられる。なので、もう遠慮なくここでも指摘することにしました。……でも出来ればこれっきりにしたいです。この勢いで文章を作るのだってしんどいですし、それ以前に眼の負担も大きいのだ。

 そんないまひとつスッキリしない気分で鑑賞したのは、ベン・スティラーが監督と主演を兼ね、妄想癖のある男が思わぬきっかけから冒険に臨む姿を描いたLIFE!(字幕)』(20世紀フォックス配給)。……実はオープン初日、最初に観るつもりだったのもこれなんですよ。普通に観させてくれんつもりだろうか。

 しかし、冒頭ぐらい観なくても筋は理解できます。個人的には大好きな仕上がり。方向性や仕掛けはだいたい想像がつくのですが、その描写や、登場する情景が美しい。これでも本質的にはファンタジーに違いないのですけれど、観終わって活力を与えてくれる類の、いいファンタジーだと思います。ある意味で午前中に観た『プリキュアオールスターズNS3』とテーマが似通っている、というのはハシゴをするとよくあるシンクロだ。

 内容的には満足なんですが、それだけに冒頭を見逃したのがどうにも惜しい。フリーパスを持ってますから、すぐに次の回の席を確保して、冒頭だけ観て帰る、ということも考えましたが、今日はもう帰りたい心境だったので、明日に回しました――そう、実は明日来ることはもう決まっているのです。本当に、今度こそ何事もないのを願うしかない。

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